西南学院大学續木先生インタビュー

この間のカンボジアでの変化について

清水:
2012年からこの活動をされていて既に5年の年月が経過していますが、2012年の時に参加したカンボジアの子どもがこんなふうに成長しているとか、そういった小さな成果が目に見えて現れたり、みなさんが実感したりしていることはありますか?

續木先生:
目に見えて変わったことということで、例えば小学校で体育がやられるようになったかというと、まだそこまでは期待していた効果は出ていないように思います。ただ、子どもたちは運動会の楽しみ方を分かっているなとは思います。その小学校を卒業した子どもが次に通うことになる中学校があるんですけど、そこの中学校には体育の先生がいます。でも、今度は先生たちが困ったことがあると言うんです。何に困っているかというと、最近子どもたちが家に帰って来ないって保護者が怒っているらしいんです。子どもたちが何をしているのかというと、授業が終わってからみんなでサッカーなどの運動をしているそうなんです。それで帰りが遅いと怒っているみたいで。
そういう意味では、スポーツとか運動とかは生活の中に入ってきたんじゃないのかなというふうに考えることも出来るかなと思っています。それがこの活動の1つの成果かなと思います。

あと、僕たちの活動は訪問する度に毎回同じ支援をしているわけじゃなくて、1回目の学校は僕たちが全部運動会をして、2回目は少し現地の先生たちもお手伝いしてもらって、3回目は現地の先生と子どもたちも一緒に活動に参加しれもらって、といったようにどんどん任せていっています。そうして少しずつ離れていって、「今回の運動会の1年生何の競技は何をしますか?」と先生たち自身で考えてもらい、僕たちが来なくても運動会が出来る状態になることを目標に活動しています。実際に中学校では僕たちの手から離れてきているような状態にあります。でも、小学校は体育の先生がいないというのもあって、僕たちがいないとなかなか運動会が成立しないという状態にあります。ですので、目に見えて何か変わってきたかと聞かれると、確かに変わってきたと言える部分もありますが、どんな尺度をもって変わっていると言えるのかということもまだまだ見えていない、というのが課題としてはあります。

清水:
運動が生活に根付いてきているという小さな変化でも、支援している側としては喜ばしいことですね。でも、お話を聞く限りまだまだ道のりは長そうですね。このプロジェクトの最終的な目標はどういったところにあるんですか?。

續木先生:
最終的な目標は何かと聞かれると、それはなかなか難しい質問ですね。どう変わるか分からないんですけども、1つは体育という授業が学校の中の正課の授業としてちゃんと位置づくことが1つの目標かなって思いますね。もう1つは、カンボジアの国が変わることと言えば大袈裟になってしまいますけど、今もお金を渡せばなんでも成立してしまったり、お金を持っている人と持っていない人との差が激しかったりといった現状があって。これだけ支援しているのに、現地では高級車がバンバン走っています。市民が平等に生活出来る社会が実現出来るかどうかというのが1つのゴールかもしれないですが、なかなか難しい、壮大なテーマです。助け合う力だったり、騙されない力だったり、そういう力が子どもたちだったり村の人だったりにつくというのはなかなか難しいとは思います。