たかまつななさんインタビュー

奨学金問題について

宮永:
現在、全国大学生協連では、奨学金問題に注目して活動しています。たかまつななさんのように、目的を持って学びたい!と強く願っている学生でさえも、奨学金を受け取ることができないのが、奨学金制度の現状です。たかまつななさんさんの思う現在の奨学金制度の問題点はどこにあるでしょうか?

たかまつなな氏:
そうですね…、問題点しかないと思います。給付されるのは月3万円でしたっけ?

宮永:
はい、そうですね。

たかまつなな氏:
月3万円じゃ何も解決できないですよね。私が在籍している慶應義塾で年に学費が140万円なので、月々10万円以上。それで月に3万円と言われても…。このように意味はないと思うが、「これは文科省がいけない」という結論付は良くないと思う。官僚の人と話すと、文科省としては大きな動きだったと言っていた。一人当たり月3万円といえど、ここまで予算を引っ張ってきたのは、すごく前進したってなるのが普通らしい。それは意味がないと私たちが唱え続けるのは大切ですけど、多くの人が頑張ったんだなっていう見方も持ってあげないとかわいそうだなとも思う。かわいそうだなって思ったうえで私は意味がないなって言うんですけれども…(笑)

予算をどこから引っ張り出すかという問題は本当に難しいですけれども、私はお金がない中、貯金を切り崩して大学院に進学したんですけど、お金を稼ぎながらとなると勉強は疎かになるし、学部の時よりも成績が落ちたりしている。私が他にもいろいろな活動をしているというのももちろんあるんですけど、やっぱりバイトしながら大学で研究するとなると、研究の質はかなり落ちてしまうと思う。奨学金の制度も4月5月に〆切が密集していて、そこを逃すとほとんど利用できないといった制度になっていたり

また、本当に奨学金が欲しい人が利用できるような仕組みになっていない。私は昨年、授業がかなり詰まっている中で、奨学金制度を利用するための面接が明後日ですと言われた。本当に学費のためにお金が必要でバイトをしている人が面接に来れるのか?と言うと来れないんじゃないかと思う。

また、芸人でも大学を出ている人が多くいて、その中の本当に真面目な芸人がすごい借金を抱えてて、「なんでなんですか?」と聞くと、「奨学金が貸与型だったから」と言っていた。最近有名になった芸人も月々3万円払っていると言っていた。その人は売れたのでいいですけど…(笑)

それで破産している人もいるような現状の中で、保育士になったらどうするの?と思う。手取り15万円でどうやって毎月返していくのかという話になる。利子も高いし、返せなかったからといって延滞金が発生するし、今の社会人一年目の手取りを考えてみても…。このように問題点しかないと思います。

宮永:
たかまつさんもご苦労されているようですね。

たかまつなな氏:
そうですね。親からは一切援助を受けずに自分でやりくりしています。奨学金の制度がそのような現状の中、私はクラウドファンディングによって学費を集めているんですけれども、本気で学ぼうと思っているのなら手段はいろいろあるということを示したかったんです。もちろん、自分の覚悟を示して信用してもらうことが必要なのですけれども。もし、クラウドファンディングによって大学に通った人が大人になって、他にクラウドファンディングをしている人がいたら、きっと投資してくれると思うんです。人ってどこか他人事には無関心な部分があるんですけど、そうやって小さなところから正の循環が生まれるのではないかと思います。