小説・コミックで読むキャンパスライフ
【研究者・研究室編】
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▼特集「全力チャレンジ! 大学生活」記事一覧

部活・サークル活動に続き、キャンパス内で気になることといえば研究室。物語に描かれる研究室には魅力あふれる研究者たちが沢山登場します。小説・コミックを通してそんな研究室の中をのぞいてみましょう。
谷瑞恵
『異人館画廊
盗まれた絵と謎を読む少女』
集英社コバルト文庫/定価616円(税込) 絵画ミステリーシリーズの第1巻。主人公の千景は、生死や感情を象徴する絵で人の無意識下に影響を与える技法・図像の専門家。彼女は見る者に悪影響を及ぼすという“呪われた絵”から人々を守れるのか……。魅力的なキャラクターたちの掛け合い、中でも千景と幼馴染みの透磨のやり取りは必見です! ぜひ読んでいただきたい!
(高木)
千葉雅也
『デッドライン』
新潮社/定価1,595円(税込) 哲学者が書く哲学書は読んだことがあった、哲学者が書く小説を読んだのは本書が初めてだった。第162回芥川賞候補作、第14回野間文芸新人賞受賞の本作の帯には「ゲイであること、思考すること、生きること」と綴られている。思考することと生きることの境界が溶けて一体となった大学院生の主人公のことが、僕は好きだ。
(内田)
シュリーマン〈村田数之亮=訳〉
『古代への情熱』
岩波文庫/定価792円(税込) 「トロイヤ戦争」を信じ、幻と思われていたトロイヤ文明を見事発掘したシュリーマンの青年時代、そして後年の発掘物語を綴った作品。前半では、出稼ぎをしながら独学で数カ国語をマスターした彼の勉強法が必見です。後半の発掘物語は、古代ギリシア史や考古学に興味を持たれる方の心をときめかせるでしょう。
(岩田)
サン=テグジュペリ〈河野万里子=訳〉
『星の王子さま』
新潮文庫/定価528円(税込) 「本当に大切なことは目に見えない」でおなじみ『星の王子さま』にも学者が登場する。彼は地理学者で探検家から聞いた沢山の話を記録する仕事をしているのだが、彼自身は自分の星のことを全然知らない。現実世界でも、そんな人は沢山いる。大人になって読んでみるとまた違った視点で読めるのが本のいいところかもしれない。
(北田)
江戸川乱歩
『屋根裏の散歩者』
春陽文庫/定価880円(税込) 世の中には、自らの知識を人類の未来のために使う科学者もいれば、自身の歪んだ欲望のために使う科学者もいるらしい。この短編集に収められている「目羅博士の不思議な犯罪」に登場する目羅博士は、とある方法を使って凶悪な犯罪を実行します。何年たっても色あせないトリックとその気味の悪さが面白い傑作。
(田中)
松崎有理
『架空論文投稿計画』
光文社/定価1,760円(税込) 発想も内容もとにかくすごい!ある目的のために、でっち上げられた論文がたくさん登場します。例えば『“繰り返し「ぶぶ漬けいかがどす」ゲーム”は戦略的行動か?』。もう架空論文だけでもお腹いっぱい。そこに物語までついてくる、圧倒的満足度! 元研究者の著者による研究者用語の解説も、とても勉強になります。
(徳岡)
テッド・チャン〈大森望=訳〉
『息吹』
早川書房/定価2,090円(税込) 「世界」の秘密を解き明かすために自らの頭を自分一人で解剖する解剖学者。それがこの短編集の表題作に登場する主人公である。自身の頭を解剖するというその発想が斬新で面白い。「世界」の秘密を知った時の衝撃、そして物語の結末にひどく心を揺さぶられること間違いなしの最高峰のサイエンス・フィクション。
(田中)
星新一
『ボッコちゃん』
新潮文庫/定価693円(税込) 数分で読めるお話が50編も入ったSS集。たくさんの学者や研究者による、面白くて恐ろしい様々な研究が出てきます。現実離れしているのに、ゾッとするリアリティがあって、寝る前に読んだら変な夢をみてしまいました。とはいえ、サクッと読めて、クスッとできるので、読書に苦手意識がある方にもおすすめです。
(川柳)
渡辺淳一
『遠き落日 上・下』
講談社文庫/定価(各)957円(税込) 千円札でおなじみ、野口英世氏の生涯を描く長編。氏というと「研究対象だった黄熱病に自ら罹患し亡くなった」という話ばかり語られますが、本作ではそこに至るまでの泥臭い立身出世物語が詳細に書かれています。人間としての氏は、超自己中、浪費家、借金を返さないなど隣にいてほしくないタイプだったようで意外でした。
(岩田)
東野圭吾
『パラレルワールド・
ラブストーリー』
講談社文庫/定価825円(税込) 主人公の崇史と智彦、麻由子はどちらの妻なのか? バーチャル・リアリティを研究する頭脳明晰な主人公のドロドロとした感情に共感してしまう人も多いのではないだろうか。東野圭吾さんがこの本のアイデアを生んだのは20代。1998年生まれの人には是非読んでほしい不朽のミステリー小説。
(木村)
青羽悠
『星に願いを、そして手を。』
集英社文庫/定価660円(税込) 物語には、宇宙への愛情を持つ人物が多く登場します。 その中では、大学院で研究をする学生、人工衛星打ち上げに携わった研究者らが、互いに関わる中で過去の葛藤と向き合う姿が描かれます。内心のせいで星をきれいと思えなくなった、など好きな宇宙に関わる故に悩む描写が印象的です。
(小古井)
ウェイク・ワン〈小竹由美子=訳〉
『ケミストリー』
新潮社/定価2,200円(税込) 「科学者はただの人間にすぎないし、ただの人間は間違いをおかす」。主人公は優等生の化学者だが、研究は停滞し、恋人との関係も何もかも上手くいかない。両親の期待も疎ましい。ある日ついに研究室で爆発してしまう。どん底から、自らのルーツを手繰り寄せた先に見えたものは? 限界リケジョの挫折と再生の旅。
(任)
小川洋子
『博士の愛した数式』
新潮文庫/定価649円(税込) 学者小説といったら外せない、あまりにも有名な一冊。記憶が80分しかもたない数学博士と、その家政婦親子のあたたかいお話に、心がじんわりします。病院の待合室で読んでいたら、呼び出し番号や診察券番号まで、目に入るあらゆる数字が特別なものに見えました。
(川柳)
三浦しをん
『愛なき世界 上・下』
中公文庫/定価(上)748円・(下)726円(税込) 「恋のライバルは植物」洋食屋の見習い、藤丸陽太のことだ。彼が恋したのは植物研究に精を出す本村紗英という学生。何よりも研究第一な紗英に振り向いてもらえるのか?!というストーリーはもちろん、垣間見える研究生活にツッコミたくなること間違いなし。厚さに怖じけずぜひ手に取ってほしい。
(畠中)
コリン・アダムス〈小谷太郎=訳〉
『ゾンビ 対 数学』
技術評論社/定価2,398円(税込) 未知のウイルスによって、キャンパス内の人が突然ゾンビになってしまった! 主人公の数学者クライグと生存者たちは数学を武器にゾンビに立ち向かいます。この本で微積分を学べば、将来ゾンビに襲われることがあっても生き残る力が身につく……かもしれません。巻末の解説は大学数学の勉強の助けにもなります。
(瀬野)
東野圭吾
『容疑者Xの献身』
文春文庫/定価770円(税込) 映画化もされた超有名作品。小学校低学年の時に読んで「本って面白い!」と初めて思うことができました。数学者の石神と物理学者の湯川が、大学時代に初めて会話するシーンがとても素敵でした。出会った場所は、大講義室の最前列の端の席。大学の講義のほとんどを僕が最前列の端で受けたことは言うまでもありません。
(光野)
森博嗣
『冷たい密室と博士たち』
講談社文庫/定価880円(税込) 大学の低温度実験室で密室殺人が起こる。著者は当時国立大学の助教授だったこともあり、かなりリアリティがある。ひょっとしたら作中に出てくる実験室にもモデルがあるのかもしれない。森作品のトリックはすべて再現可能らしいので、この密室もきっと再現可能なのだ! 硬く冷たい印象のパーフェクトミステリィ。
(北岸)
佐々木倫子
『動物のお医者さん 全6巻』
花とゆめコミックス/定価(各)922円(税込) 北海道大学獣医学部をモデルに、獣医の卵である主人公たち学生と、個性的な教授や院生、動物たちを描いたユーモア満載のコミック。病院内で吹き矢を使って動物たちを麻酔にかける漆原教授、血液の実験で器具の掃除をするのが大好きな菱沼さんなど、どのキャラクターもかなり変わっていながら、愛せてしまうシリーズです。
(齊藤)
橋本カヱ=原作・本多創=漫画・ペトス=監修
『オカルトちゃんは語れない
1〜7』
講談社ヤングマガジンKC/定価693〜726円(税込) 「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」という漫画のスピンオフ。亜人と呼ばれる存在が実在する世界で、主人公の高橋陽子は多くの超常現象に巻き込まれます。何より面白いのは、それらの超常現象を物理学の助教授、相馬靖忠が科学的に解釈しようとするところ。不思議な読みごたえがあります。
(千羽)
十月士也
『椎名くんの鳥獣百科 1〜10』
マッグガーデン/定価628円(税込) 「とりけも(鳥獣)」好き、または一度でも「動物はかせ」に憧れを抱いたことのあるみなさん、集合—! 作品の舞台の山裾大学は、たくさんの「とりけも」たちが暮らす、楽しさと癒やしが詰まった場所! そして彼らと共に生活し、研究する「人間」たちもとっても個性豊かで魅力的! 多種多様な動物間のドラマ、ぜひご賞味あれ!
(徳岡)
石川雅之
『もやしもん 全13巻』
講談社イブニングKC/定価586〜627円(税込) 菌が見える主人公が農業大学の研究室で仲間たちと送るキャンパスライフを描いたコミック。それぞれの登場菌が可愛く描かれているだけではなく、勉強にもなります。読んでいた当時は中学生だったので、大学生の抱えるモラトリアム感にあまり共感は出来なかったのですが、今読めば共感できる部分も多いのかも。
(北田)
■選書・コメント:『読書のいずみ』委員・読者スタッフ
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