読む地元
『読書のいずみ』委員&読者スタッフ&読者アンケートより
facebookでshareできます
twitterでshareできます
lineでshareできます
▼特集「本とともにキャンパスライフを」記事一覧

本の中に知っている土地が出てくると嬉しくて夢中で読んでしまうことって、ありませんか。今回は、『読書のいずみ』のスタッフ、そして読者の皆さんに、「地元や大学のある街を描いた本」を紹介してもらいました。今回は、北海道から関西北陸地方、そして沖縄地方編をお届けします。
次は、中国地方、九州地方で読者のみなさんの街が登場する作品について、ぜひ教えてください。
※ここでご紹介している地域は「スタッフや読者にとって身近な場所」という視点選んでいますので、本の中にはそれ以外の地域も登場している作品もあります。
北海道・東北地方
青木曲直
『爪句@今日の花』
共同文化社/定価524円(税込) 北大名誉教授による、写真集×俳句×エッセイで彩る手のひらサイズの北海道! ここでは私が一番好きな一冊をとりあげましたが、このシリーズは風景・鉄道・鳥・都市秘境とテーマが多彩。ぜひ、お気に入りの一冊を見つけてみて!
(沼崎麻子)
宮下奈都
『羊と鋼の森』
文春文庫/定価748円(税込) 北海道でピアノの調律師になった青年が、様々なピアノや弾き手、同僚と向きあう。文章そのものが、北海道の空気を帯びていると感じた。静かで、冷たくなるほどに澄んでいくあの空気をふるわせる、ピアノの音が聞こえてくる。
(齊藤ゆずか)
東直己
『バーにかかってきた電話』
ハヤカワ文庫/定価836円(税込) 2011年に映画化もされた、シリーズ第2作。80年代の札幌と北海道大学が登場します。原作の舞台は昭和、映画は平成、そして現在は令和。3つの時代で変わったもの、変わらないものを探して聖地巡礼はいかがでしょう?
(沼崎麻子)
原田マハ
『奇跡の人』
双葉文庫/定価794円(税込) 言葉は世界を照らす。目も見えず耳も聞こえない介良れんは家族から忌まれて蔵に幽閉されていた。そこに一人の家庭教師去場安がやってきて彼女に言葉を教える。獣のように生きてきたれんを握る先生の温かく強い手は奇跡をおこす―― 。
(古本拓輝)
くどうれいん
『氷柱の声』
講談社/定価1,485円(税込) 東日本大地震を経験した人々のエッセイが繊細に書かれています。著者のくどうれいんさんは岩手県出身です。
(読者 kii)
関東・甲信越地方
曲亭馬琴〈石川 博=編〉
『南総里見八犬伝』
角川ソフィア文庫/定価880円(税込) 安房国が舞台の南総里見八犬伝は、日本古典の中でも分量と完結までの期間が最長の作品だそう。本書はそんな壮大な物語の魅力を凝縮した一冊。登場人物たちの名前の由来や口絵にまつわる秘話などの豆知識も興味深い。
(高津咲希)
森絵都
『永遠の出口』
集英社文庫/定価792円(税込) 千葉の田舎に住む紀子の小学校から高校卒業までの成長物語。様々なことを経験し、逞しく生きる紀子を思わず応援したくなる。紀子が友人と千葉駅へ出掛けたり、内房の海を感じさせる描写があったりと何だか嬉しくなった。
(高津咲希)
渡航
『やはり俺の青春ラブコメは
まちがっている。』
ガガガ文庫/定価660円(税込) やりなおし青春劇。ひねくれた高校生・八幡は「奉仕部」に入学してしまう。友人も彼女も欲しないニヒリストな彼がヒロインたちとの関わりで己を見つめ直していく。
(古本拓輝)
乗代雄介、温又柔ほか
『鉄道小説』
交通新聞社/定価2,420円(税込) 鉄道開業150年を記念したアンソロジー。中でも乗代雄介さんの「犬馬と鎌ヶ谷大仏」は、慣れ親しんだ新京成線沿線を舞台にした作品で親近感が止まりませんでした。他の短編も山手線、青森トラム、阪急電車など、全国の鉄道が盛りだくさん!
(三好一葉)
司馬遼太郎
『胡蝶の夢(一)』
新潮文庫/定価880円(税込) 蘭学者たちの視点から激動の時代を描いた、少し珍しい幕末もの小説です。佐藤泰然、松本良純など、現在の佐倉市にあった順天堂ゆかりの蘭方医たちが多数登場します。
(三好一葉)
三島由紀夫
『美しい星』
新潮文庫/定価737円(税込) 本作は、埼玉県飯能市が舞台。人は読んだ言葉でしか、語れない。美文も、深い含蓄もたくさん読んで血肉にすると、忘れた頃に、ぽろっと口から溢れてくる。本書は美文家である三島由紀夫が余すことなく堪能できる。
(内田充俊)
原田ひ香
『ランチ酒』
祥伝社文庫/定価759円(税込) 見守り屋として働く主人公が夜勤明けのご飯を楽しみに仕事で様々な人と出会うお話です。主人公が東京の各地でランチ酒を楽しむシーンが、本当においしそうで夏バテでも食欲が掻き立てられました。
(力武麗子)
原田マハ
『あなたは、誰かの大切な人』
講談社文庫/定価682円(税込) 6篇からなる短編集で、3つ目の「無用の人」という作品で西早稲田周辺が描かれています。ほんとうにさまざまな生き方の女性が登場して、どの生き方も素敵だなと思えるからこそ自分の人生も肯定できるような気持ちになります。
(力武麗子)
村上春樹、安西水丸
『村上朝日堂』
新潮文庫/定価693円(税込) 村上春樹が早大に在学しながら若干24歳にして経営していたジャズバー「ピーターキャット」跡地は国分寺にある。私の在学している、東京経済大学の最寄駅だ。その時代について、村上は『村上朝日堂』にて詳述している。カフェ巡りが好きな人におすすめしたい一冊。
(内田充俊)
木内昇
『茗荷谷の猫』
文春文庫/定価759円(税込) 表題作を含め、全9作が収録された短編集。お茶の水女子大の最寄り駅である茗荷谷の他に、巣鴨・本郷・浅草・池袋などが各作品の舞台になっています。現在とは違う幕末から昭和の東京の町並みを想像できるのも面白いです。
(川柳琴美)
鈴木牧之=編撰、岡田武松=校訂
『北越雪譜』
岩波文庫/定価1,067円(税込) 新潟を含めた豪雪地帯を主として書いている本書は、雪国の生活がこれでもかと書いてあります。住んでいた人間としては豪雪にはマイナスなイメージしかないのですが、江戸時代の豊かな雪国文化を知ることのできる貴重な資料です。
(読者 ゆうこ)
夏川草介
『神様のカルテ』
小学館文庫/定価682円(税込) 松本市にある病院が舞台の、主人公の内科医兼救急医が奮闘する様子を描いた作品です。読みやすい文体で、医療をテーマにした物語でありながら、読後感もさわやかに感じられます。
(福田望琴)
東海地方
幸田文
『崩れ』
講談社文庫/定価671円(税込) 静岡市をながれる安倍川上流には、大谷崩という山体崩壊がある。作者はこの大谷崩を見たことで崩壊が持つエネルギーに圧倒された。これをきっかけに富士山の大沢崩れや日光男体山の崩れを巡るようになる。地球が持つエネルギーを作者の家庭的な感性で書いた作品です。
(鈴木大翔)
さくらももこ
『もものかんづめ』
集英社文庫/定価704円(税込) 横になが〜い静岡県。静岡市には富士山も有名な温泉街もありませんが、あの「ちびまる子ちゃん」の舞台なのです! ユーモア溢れる漫画のようなエッセイを通して、のんびりした我が地元の日常に触れてみてください。
(川柳琴美)

『曾我物語
新編日本古典文学全集 53』
小学館/定価4,694円(税込) 日本三大仇討ちの一つとされる曾我兄弟の仇討ちを題材にした軍記物風物語です。富士の巻狩りなど、富士野と呼ばれる富士、富士宮地域が舞台となっています。現在でも曽我寺など多くの史跡が残されており、鎌倉時代の岳南地域に思いをはせられます。
(鈴木大翔)
村上春樹
『色彩を持たない多崎つくると、
彼の巡礼の年』
文春文庫/定価825円(税込) ・主人公の多崎つくるは僕と同じく愛知県の公立高校卒で、学部こそ違うものの大学まで一緒で、さらには姉が二人いるところも共通している。言外の情景も東工大生なら味わえるはず。6年ぶりに読んだけれど、とにかく濃密。(中川倫太郎)
・名古屋市民が抱いているコンプレックスをつついてくる表現が多々あって気恥ずかしい気分になりました。(光野康平)
太田忠司
『名古屋駅西喫茶ユトリロ』
ハルキ文庫/定価726円(税込) 名古屋大学医学部への進学を機に東京から、喫茶店を営む祖父母宅へ下宿することになった鏡味龍。名古屋飯を題材にした謎解きも面白いが、ところどころ龍の、家族に対する蟠りや心の揺れ動きが見え隠れする。ただの美味しそうな話ではない。
(後藤万由子)
清水義範
『蕎麦ときしめん』
講談社文庫/定価616円(税込) 人生の大半を名古屋で暮らしたにもかかわらず、幼少期を大阪で過ごした僕は名古屋弁ネイティブではない。そのことを父親に相談したらこの本を教えてくれた。車と地元と地下街LOVEなカリカチュア・名古屋人は的を射とってどえりゃあおもろい。
(中川倫太郎)
坂口由美子=編
『伊勢物語』
角川ソフィア文庫/定価792円(税込) 古典の授業で誰もが出会った、平安時代きってのプレイボーイ。彼と、伊勢神宮に仕える皇族の女性、斎王との一晩だけの切ない恋が描かれている。そもそも恋愛の許されていない斎王が男性の部屋に行くとか大胆だなぁ。
(後藤万由子)
関西・北陸地方
山崎豊子
『白い巨塔 [一]』
新潮文庫/定価737円(税込) 学部時代、指導教員に金沢が出ている小説がないか尋ねたら、本作を紹介されました。厳密には金沢大学の教授が出ているだけなのですが、権力闘争を繰り広げる東京の大学病院の対比的な地方都市として金沢が絶妙だったんだと思います。
(光野康平)
森見登美彦
『恋文の技術』
ポプラ文庫/定価682円(税込) わたしの出身地である石川県が描かれている作品です。今ではすっかり森見登美彦さんの大ファンですが、初めて読んだ作品が本書でした。石川県の七尾市と京都の間で交わされる手紙のやり取りがコミカルで面白かったです。出身者からすると面白いと思うようなネタも散らばっていて実家に帰りたくなりました。
(読者 uka)
裕夢
『千歳くんはラムネ瓶のなか』
ガガガ文庫/定価693円(税込) 母校がモデルになっていると聞き、思わず手に取りました。隙のない千歳くんの内面を覗き見できて、おもしろい。
(読者 みどりのいえ)
東野圭吾
『あの頃ぼくらはアホでした』
集英社文庫/定価704円(税込) 東野圭吾のエッセイです。私の通っていた中学校が著者の母校で、その中学のことが書いてあったので読みました。読んだ当時は中学生だったので自分の学校をイジられているようでむず痒かった覚えがあったのですが、大学生になった今また読み返したら違う感想を持つのではないかと思っています。
(読者 おいも)
益田ミリ
『大阪人の胸のうち』
光文社知恵の森文庫/定価586円(税込) 益田ミリさんのエッセイですが、クスッと笑えて大阪人以外の人も面白いと思います。
(読者 シーナ)
西加奈子
『円卓』
文春文庫/定価550円(税込) 標準語(東京の言葉遣い)で描かれた作品が多いなか、本作の関西弁がたまらない。自分の言葉だから、自分の物語という気にさせられる。
(読者 関岡七海)
綿矢りさ
『手のひらの京』
新潮文庫/定価572円(税込) 京都に暮らす3姉妹の物語。小さな感情の揺らぎを手繰りよせながら生きる彼女たちが魅力的だ。「生まれ育った場所」としての京都に向けるまなざしが、京都で暮らし始めたばかりの私にはうらやましく、心惹かれた。
(齊藤ゆずか)
原田マハ
『異邦人』
PHP文芸文庫/定価924円(税込) 京都が舞台の小説です。京都の地名や建物名などが登場するので、読みながら京都を感じることができます。
(読者 おいも)
吉田篤弘
『京都で考えた』
ミシマ社/定価1,650円(税込) 京都に来て半年ほど経ったときにこの本を読んで、初めて京都の町は北から南にかけて傾斜があるんだ、と気づきました。鴨川が町を北から南まで流れていて、その流れに沿って人が生きていて、思考が流れていく。吉田さんの考えが流れていくのが気持ちいいです。
(徳岡柚月)
竹村優希
『神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん』
双葉文庫/定価703円(税込) 冒頭から三宮のアーケード街や中華街といった馴染みのある場所がたくさん出てきて興奮しました! 祖父から譲り受けたお店を守る青年と町の人たち、そして思い出が詰まった物たちを巡る優しい物語です。
(徳岡柚月)
沖縄地方
樋口耕太郎
『沖縄から貧困がなくならない
本当の理由』
光文社新書/定価990円(税込) 私は高校生まで沖縄に住んでいたが、沖縄という場所を客観的に捉えることもできつつ、住んでいたからこそ理解できる部分もあった。
(読者 東風)
特集「本とともにキャンパスライフを」記事一覧
ご意見・ご感想はこちらから