日本私学小学校中学校高等学校保護者連合会 役員インタビュー

高大接続や大学入試についてのご意見

毎田:高大接続という言葉が出はじめた頃、すごく変わっていくなと私たちも思いました。これから入試制度も変っていくことも決まっているのですが、この点について高校の先生方や保護者の方の受け止めはいかがでしょうか。

中村:今、中央教育審議会の中で高校から大学の継続が課題になっていますよね。当然子供達は未来に向けて大きな「ロマン」を持っていると思い当然親も期待しているというわけです。その中で高校と大学が連携の中で親と子が熱い思いを教育のドラマの中で考えて教育のステージを組み立てていくということが、僕は必要なことだと思っております。
また2019年からセンター試験中心になりますよね。2020年から共通テストということで、文科省でいろいろ考えているのだなと思いますが一つ共通テストのいいところは、記述式になるじゃないですか。人間味のある試験で良いのではないかと思っています。高校大学一貫教育、これも非常にいいことだと思います。ただやっぱり高校と大学の調整をしていくということでスリムな教育をしようということだと思いますが、今のところ大学と付属の高校、私立しかやっていないわけですよね。公立をこれからどうやっていくのというのが課題だと僕は思っていますね。その中で、今度共通テストになった時にでは、高校推薦とOA推薦はどう変化していくのかと。これもやっぱり考えなくてはいけないのかなと思っています。

門傅:中村会長が今言ったとおりなのですが、現場の先生は大変だろうなと思いますよね。

中村:本当にそうだと思う。

門傅:実はうちの古川学園の進学コースというのはちょっと変っていて、推薦は一切受け付けない。全部通常の入試だけでやらせる。良い悪いは別ですね。学校の方針として進学コースは、推薦は受け付けないとしている。どんな大学から推薦依頼が来ても。センター試験を受けて、2月の私立大学の(一般)入試を受ける、ただ親のニーズからすると「なんで推薦を使っちゃだめなの?」という話も出ています。
あくまで学校の方針だと言ってどこまでそれが守れるかどうかは分かりません。どっちがいいか悪いかは分かりません。高校の実績から言えば推薦であっても一般入試であっても○○大学に何人入りましたと一つ売りになるではないですか。良くも悪くも。そこをどう考えるかは分からないですが。
新しい記述はいいけども、現場の人は大変ですね。いずれ情報公開で、自分の点数がなんでこれが何点だとなるでしょう、採点ミスという形で出て来るではないですか、何十万人と受けるわけではないですか。Aiが採点するか人間がやるかは分からないですが。

中村:いずれにしても各大学でやはり個々でうちの価値観はこういうところがあるよ、と親と子に強くアピールしないと僕はだめだと思います。

毎田:先ほどオープンキャンパスの話でも出ましたが、大学自身も保護者の方に理解をしてもらうということにすごく力を注ぐようになりましたよね。入学してからも、親元に成績表が送られてくるようになっています。昔は自分の大学の成績なんて親になんか見せなくてもよかったと思うのですが、今は成績表が親元に直接送ってきます。

中村:お父さん、お母さんのニーズが高いですからね。いろいろありますからね。

毎田:大学も保護者の方の目線を大切にしています。以前は入学式に親が来るという話をすると「えー」という反応でしたが、今はもう当たり前、しかも是非来てくださいと言っています。入学式が終わると子供は子供でオリエンテーションなどを受けますが、それと並行して保護者向けのオリエンテーションを行う大学も増えているように感じます。

門傅:うちの子供の時はなかったな…あったかな。

毎田:いらしているのであれば親御さんを集めて、うちの大学はこういうことをやっていますという説明をされています。大学によっては、例えば5月とか6月に保護者の方を招いてキャンパスツアーを行っています。そのくらい、今、大学の保護者の方に対する情報公開とか情報提供を行うようになってきています。

中村:いろいろな考え方がありますから。

門傅:説明責任の一つなのかも分からないですがね。

毎田:大学生協で行う説明会では、例えばアパート紹介や下宿用品をご案内するときに、食生活や授業のこと教科書のことなどを先輩学生が話をしていますが、この5〜6年くらいでしょうか、保護者の方も是非来てくださいと言うようになってきました。新入生本人だけじゃなくて保護者の方にもお伝えすると、今の大学はこうなっているのか、昔の自分たちの大学生の時とはずい分変っているな、という受けとめをされています。

中村:びっくりするのは親が子供の入試に一緒に東京に行くとか信じられないですけどね。

毎田:今はめずらしくありませんね。

中村:親が息子、娘のアパートの部屋の掃除に行くとか、ぶったまげます。
とてもではない。そのような暇があったら、自分の仕事をしています。

毎田:本当にめずらしくありませんよ。

中村:携帯で間違いなく行くでしょう。そこに。

毎田:そうかもしれませんが...
実際は、親子で東京にやってきて、子供は入試に行く、その間に時間を持て余すので生協では保護者向けの説明会をこのタイミングで開催しているところもあります。すると大変感謝もされるのですが、それ以上に、いやいや今説明を受けるだけではなく今直ぐ下宿先アパートの下見に行きたいのだが行けるか、といったことも言われます。

中村:え!入試の時に?

門傅:子離れしないですね。

毎田:合格発表前のアパート予約については、不合格だったら当然キャンセルは無料ですとしています。

中村:東京の場合は電車網が沢山あるじゃないですか。地方の高校に行くと、今は自分の子供達を車で送り迎えですよね、あれにはたまげちゃいます。校門の前が渋滞するのですから。
だからやっぱり、子供がかわいくて仕方がないのは分かるけど、どこまでやっていいのかなというのもありますよね。

毎田:そこは、私たちもやりすぎかどうか、悩みながら行っているのですが。その他にも、ミールカードや学食パスという食堂で利用できるICカードシステムを開発して使っていただいてい
ます。いわゆる「定期券型」だと、ICカードに例えば年間20万円で1日1000円上限でいくらでも使えます、というしくみです。カフェテリア食堂で精算するときにピッとかざすのですが、そのとき購入したものの履歴が自分のマイページで見ることが出来ます。
当然メニューごとの栄養価がシステムに登録されているので、例えば、野菜が足りないぞといったことがわかります。自分で食べるものは、ちゃんと自分で管理しましょうということです。
ただ、それに加えて、実はそのマイページは親が見ることが出来る。もちろん設定次第なのですが、これがけっこう親御さんに好評です。

中村:何食べているかが…。

毎田:学校には必ず行っていると、引きこもっていないかなど。

中村:かわいそうだな。好きにやらしてあげればいいのに。

毎田:でもそれで、ちゃんと学校に行っているのだなと。焼き肉ばっかり食べているのではないかとか、カレーばっかり食べているのではないかとかいうことをとか。

中村:焼き肉行く前にちゃんとそういうのを教育しなさいと思います。家庭でしょ、食育は。

毎田:それが親御さんからすると一つの安心材料になっています。子供も自分が食べているものが親に筒抜けになるのはいやだなと思うのですが、少なくとも食べることに困らないということは確かなので、子供も半分しぶしぶ半分喜んでこのシステムを使っているようです。

門傅:世の中が変ったと言えば、それまでだけど。自分でちゃんと飯を食えるのか。と思いますがね。