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学生(組合員)への学び支援もオンラインを模索しながら、さらなる「進化」へ

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大学生協のオンライン公務員講座

昨年は新型コロナウイルスの影響により、登録した受講者が講義の動画を視聴できるオンデマンド形式に切り替えました。従来の対面の講座では運営を先生にお願いするところが大きかったのですが、対面での出席率に比べるとオンデマンドの視聴率が上がらず、講義の配信とは別にオンラインでの質問会を実施する等、生協としては受講生へのサポートにできる限り取り組みました。

オンラインならではの大学を超えた交流も生まれ、北海道大学主催で難易度の高い試験種別の対策会等を数多くできたことが今までにない変化でした。また、毎年霞が関に全国の受講生を集め、公務員業務を研究する「公務員業務研究セミナー」を開催していましたが、昨年は22省庁にご協力いただきオンラインセミナーを実施できました。
遠方の学生の参加も可能になり、大規模な業務研究セミナーも新たな試みとして根付いていくと思われます。

昨年はコロナの関係で4月下旬の試験が夏以降にずれ、日程の変更で試験の併願ができなくなったり、面接練習もオンラインで行ったりと、大変なことも多くありました。受講者は効率が上がった反面、一人で勉強するため、自分の勉強の進捗状況や他の学生の動向が気になったという声が聞かれました。

受講生のモチベーションを維持できるよう面談の機会を設けるなど、支えることの重要性も問われます。


オンラインで開催した昨年の
「公務員業務研究セミナー」


2019年に開催した
「公務員業務研究セミナー」

京都地区の合同プログラム「First Year Program in KYOTO」

「First Year Program in KYOTO」は、大学生活を京都で始める1年生のための、1年を通した体験型学び講座です。

2018年度に4大学合同でスタートし、昨年が6大学、今年は7大学での開催を予定しています。

受講生は固定グループに分けられ、上級生サポーターが1人付きます。前期・後期を通じてほぼ隔週で行われる講座では、グループごとに何かに挑戦するチャレンジプログラム、プレゼンテーションやメールの送り方の講義、社会人の講演、京都の伝統文化体験、会社説明会参加等を通し、学ぶ姿勢を身に付け、視野を広げ、振り返る癖をつけます。

昨年は緊急事態宣言を受けて開催を遅らせましたが状況は収まらず、講座をオンラインに切り替えました。受講生は適応力があり、従来の対面開催よりも成長実感や満足度、講座の支持率は高かったです。自宅学習が多い中で出席率もよく、プログラムをうまく取り入れて学びのペースをつかんだようでした。

サポーターは特別に高いスキルがあるわけではありませんが、各自一生懸命に取り組む姿は頼もしく、オンライン上での受講生に対するサポートも、一人ひとりをきちんと見て状況把握をした上で対応していました。

参加する全ての学生が、オンラインでの実務経験を将来必要なスキルとして前向きに捉えていけるような運営を続けることが重要だと思われます。

オンライン授業下で学生の豊かな学びを支えるために

龍谷大学

本学の障がい学生支援室(以下、支援室)は2015年4月に深草学舎と瀬田学舎で開設され、現在は大宮学舎を含む全てのキャンパスに設置されています。2019年度に支援室を利用した障がいのある・障がいの疑いのある学生は348名(在籍者の約1.7%)で、支援延べ件数は短時間の相談を含めると年間約4,500件に上ります。

4月に新型コロナウイルス感染症対策で全面オンライン授業が始まった頃、支援室では主に聴覚障がい学生への情報保障の対応を行っていました。それが4月下旬より、既往歴はないがオンラインによる情報処理に限界を来している1年生からの相談が、教務課等を経由して複数入るようになりました。

コロナ禍という特別な状況下で、また他に対応できる専門部署もないため、支援室で対応する判断をしました。


龍谷大学 障がい学生支援室
支援コーディネーター 瀧本 美子氏

5月上旬より、社交不安障がいなどにより一人でいることが不安な学生が支援室に駆け込んでくるようになり、大学への入構が制限される中、入室可能な教室を利用し相談に応じました。発達障がいの学生からは、オンライン授業で出席しやすくなった半面、スケジュール管理が困難という相談が入るようになりました。

本学が2020年6月に実施した障がいのある学生に対するアンケートによれば、オンライン授業のメリットは障がい種別に限らず、「通学の負担や学内の雑音から解放され自分に適した環境で学習に集中できた」「体調に合わせて自分のペースで受講できた」等をプラスに評価する回答が多く、特にオンデマンド授業については「わからないところをいつでも繰り返し視聴できるので、授業内容の理解や定着が進んだ」との声が寄せられ、障がいのある学生の修学支援においてオンライン授業は、社会的障壁を軽減し、授業内容の理解・定着を促すという側面もうかがえます。

オンライン授業は情報を得ることに苦労している学生にとって、情報の取得を便利で快適にしましたが、一方で他者との関係性が断たれたことによる弊害も浮き彫りになりました。今後大学がオンライン授業をどの程度受け容れ、対面授業をどのように回復するべきか、一人ひとりの学生の現状から目をそらさない判断が求められているといえます。