「Campus Life」vol.83


「Campus Life」vol.83表紙

CONTENTS

【特集】新たな時代の地域プラットフォームへ
 

生成AIと大学教育

全国大学生活協同組合連合会 武川 正吾 会長理事(東京大学名誉教授)
全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(東京大学名誉教授)

2022年11月、ChatGPTが登場した。私が会長理事に就任したのは同年12月。生成AIは登場以来、大学教育に浸透し、学生のレポート作成や情報収集にも利用されるようになった。教員の間では、レポートの評価をめぐって対応に苦慮する状況が生じた。会長理事としての新たな役割を担い始めた時期と、大学教育を変える可能性を持つ技術の登場の時期とが重なった。

こうした問題は、生成AIで初めて生じたものではない。Googleなどの検索エンジンやWikipediaが普及し始めた時にも、情報の信頼性やコピー・アンド・ペーストによる剽窃が問題となった。その対策として、既存文献との類似度をチェックする仕組みも利用されるようになった。新しい情報技術の登場は、そのたびに大学教育に学びや評価の見直しを迫ってきた。

ただし、生成AIは従来とは異なる問題を提起した。既存の文章をコピーするのではなく、新たな文章そのものを生成するからである。このため現在では、生成AIによって書かれた可能性を推定する機能も登場している。とはいえ、生成AIを利用すること自体が不正なのではない。重要なのは、どのように利用するかである。UNESCOも、人間中心の立場から、生成AIを適切に活用することを求めている。

大学教育で問われるのは、AIが示したものに何を「プラスアルファ」できるかであろう。AIの回答を検証し、自らの経験を加え、さらに新しい問いを立てることである。問うべきは、AIを使ったか否かではなく、AIを使って何を考え、何を付け加えたかである。最終的に判断し、その結果に責任を持つのは人間である。生成AIは、「自分で考えるとは何か」「大学で何を学ぶのか」を改めて問いかけている。

全国大学生活協同組合連合会 武川 正吾 会長理事(東京大学名誉教授)

 

Campus Life vol.83「新たな時代の地域プラットフォームへ」に寄せて

全国大学生協連 全国学生委員会(2026年度)学生委員 島田 大誠
全国大学生協連
全国学生委員会
(2026年度)学生委員
島田 大誠

本誌冒頭で、島根大学 大谷浩学長と尾原幸治教授の対談を拝読し、大学が果たすべき地域貢献の真価について改めて深く考えさせられました。対談で語られていた「課題の解決には現場感覚が重要」という言葉のとおり、大学での学びを真に社会に還元するためには、学生自身がキャンパスや地域の現場に飛び込み、実情を肌で感じることが不可欠です。

日本各地には、長い歴史に育まれた伝統産業や豊かな自然環境など、かけがえのない財産が存在します。私たちが担うべき地域貢献とは、単なる課題解決にとどまらず、学問の光を当てることで地域固有の自然や文化を守るとともに、その潜在的な価値を再発見し、未来へと継承・発展させていくことにあると感じます。

そして、その架け橋として大きな役割を期待されているのが大学生協だと思います。大学生協は学生・教職員が主体となる組織であり、組合員同士のつながりを活かすことで、個人の活動を超えた大きな推進力を生み出すことができます。学生の身近な代表である学生委員会が呼び掛けて、周りの学生へ共感を拡げていくことで、「誰かの役に立っている」という実感を共有していけます。そうして一歩を踏み出す仲間を増やしていくことが、私たちの活動の原動力となります。

学生の主体的なエネルギーを起点に、大学・生協・地域社会による協同の力でその地域の課題を解決したり、価値を高めたりすることが大切です。教育・研究の知見、生協のネットワーク、そして地域の現場がより密接に連携するプラットフォームを築くことこそが、持続可能で豊かな地域の未来を拓く鍵になると確信しています。

全国大学生協連 全国学生委員会(2026年度)学生委員 島田 大誠