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Withコロナ キラリ人インタビュー NO YOUTH NO JAPAN さん

インタビュイー

  • 能條 桃子さん(代表)
    (慶応義塾大学 4回生)
  • 高槻 ゆうかさん
    (大阪大学 4回生)
  • 石井 萌(めぐみ)さん
    (国際基督教大学 4回生)

聞き手

  • 矢間 裕大
    (全国大学生協連学生委員会 学生委員長)
  • 皆川 淳哉
    (全国大学生協連学生委員会)
  • 四方 遼祐
    (全国大学生協連学生委員会)
  • 安井 大幸
    (全国大学生協連学生委員会)

【団体概要】

”NO YOUTH NO JAPAN”とは、現役の大学生数名が中心になって運営するU30のための政治メディアです。2019年7月の参議院選挙に際して、若者の投票率を上げ、若者の声が響く社会づくりを目指して慶応義塾大学の学生である能條桃子さんたちが中心で立ち上げました。InstagramやTwitterなどSNSを活用して、政治の話題をビジュアルで伝えています。特に、Instagramのフォロワーは2万人を超え、若者世代における影響力は非常に大きくなっています。
新型コロナウイルス感染症の拡大期には、感染症についての正しい情報を分かりやすく伝えました。また、正しい情報を基に、若い世代に向けて感染症拡大予防のための行動提起を行っていることも特徴的でした。今回のInterviewでは、その背景にある”NO YOUTH NO JAPAN”さんの想いを聞きました。

自己紹介と団体の紹介

石井萌(めぐみ)です。国際基督教大学の4回生です。主にインスタのストーリー作成に携わっていて、ほかにもイベントも担当しています。最初はNO YOUTH NO JAPANをフォロワーとしてみていて、メンバー募集があったときに参加しました。政治って正直難しいし、話しにくいし、固いイメージがあるのにこんなに可愛くポップにできると初めてInstagramを見たときに感じた。政治とInstagramという一番かけはなれたものをつながっているのが面白いなと思って入りました。私はデザインが大好きなんです。

高槻ゆうかと申します。大阪大学の4回生です。NO YOUTH NO JAPANが活動を始めた最初から所属していて、主にInstagramの投稿を作っています。投稿を作るときにポップさとか狙って作っていたのでちゃんと伝わっていてうれしいですね。

能條桃子と申します。慶応義塾大学の4回生です。去年の参議院選挙のときにNO YOUTH NO JAPANを立ち上げ、代表をしています。

皆川淳哉と申します。長野大学を卒業して2年目になります。今は全国大学生協連学生委員会で活動しています。

矢間裕大です。大阪大学を卒業して2年目です。全国大学生協連学生委員長として全国の若者のがんばりを広めています。今日はよろしくお願いします。

同じく全国大学生協連学生委員会で活動している四方遼祐と言います。奈良県立大学を3月に卒業しました。学生時代から社会の問題を考えないなと思って活動していたがなかなか広まらなかった。昨年インスタでたまたまNO YOUTH NO JAPANさんを見つけてずっと見ているが、この発信力と広まり具合は本当にすごいなと思っていたので今日は楽しみにしていました。よろしくお願いします。

同じく全国大学生協連学生委員会で活動している安井大幸と申します。琉球大学出身です。

今日はよろしくお願いします。では続けて団体のご紹介もお願いいたします。

NO YOUTH NO JAPANは昨年7月の衆議院選挙の時に立ち上げました。最初は選挙の投票率が少しでも上がるようにと思って活動していました。今は若者の声を届け、響く社会にしたいという背景があります。今はなかなか若い世代が政治に関心を持つことなどはハードルが高いと思っていて、若い世代が政治や社会に発信する入口を作っていけたらと思っています。具体的な活動のメインはInstagramへの投稿や記事の執筆です。

若者の社会参画が希薄であることを感じたきっかけ

note等で拝見させていただいて、作成物の調べている量がすごいと思っていました。おそらく調べた内容の2割くらいしか発信していないと思うのですが、大変そうなこの活動を行いたいと思ったみなさんの個人的な背景・ルーツをお伺いしたいです。

私は小学校の高学年から政治に関心がありました。当時は社会の授業が好きというような感じでそれの延長線上で関心を持っていました。こんなに政治について活動したいと思いだしたのは大学に入ってからです。大学2年の秋に議員インターンをやっていて、そこで日本の政治や選挙の問題を感じました。そこが大きなきっかけです。

若者の社会参加の希薄さを実感したのは、自分が投票権を持ってからだったと思います。私の両親は選挙に行く人だったので、私自身は選挙に行くことは当たり前でしたが、いざ選挙権を持った時に投票に行くことが当たり前じゃないんだと感じました。投票権を持っているから投票に行った方がいいとは思ったが、どの候補者に投票したらいいのかを調べたり決めるのは難しかったです。その時はまだ漠然とした問題意識だったが、大学2年の後期に留学したデンマークでは選挙時期は町の様子が選挙1色になっていた。その時から、社会へのモヤモヤをどうせ無理だからとあきらめず、それを政治を通じて変えていくのはいいなとより強く思うようになりました。

私たちが幼いころから、若者は政治に興味がないと言われてきたので、知ってはいた。これが問題意識になったのは留学がきっかけです。ロシアに留学したときに日本の政治を聞かれることが多かったんですよね。当時私は斜に構えていた感じで、政治家なんてみんな一緒だと思っていて、日本の政治よりも国際的な難民の方が興味あるという感じでした。日本国内のことなんて知ろうともしていなかったし、そういうスタンスがかっこいいなと思っていた。でもそれは無知で、大多数の20代と同じだと思いはじめた。その問題意識が芽生えた時にNO YOUTH NO JAPANを見つけて参加しました。

現在、50~60名くらいメンバーがいると聞いたんですが、なんで参加してくれたのか知っていたりしますか?

衆議院選挙のときは2週間限定で活動する予定でメンバー募集をしていました。100人くらい入ってくれたが、だいたいは選挙に投票率上げたいと思ってくれていたと思います。その後入ってくれた人たちは留学経験者が結構多くて、日本好きだけど文句言っているだけは違うという感じで入ってくれていると思います。

最近のメンバーだったらInstagramを見てくれていて、スタンスに共感してくれていると思います。

あとから入ってくださった方はNO YOUTH NO JAPANの活動が魅力的だったのが理由で、一緒に変えたいという思いでやってくれていると思いました。Noteにも投稿があったが、『違うを見つけに行く』というのがキーワードなのかなと感じた。

小さいころから問題意識を持っているのはすごいなと思いました。一方で、日本の政治に対して斜に構えている若者も多いと思います。この間、大学生と話している中でも社会の問題を変えたいという思いはあるけれど、政治へ参加は小恥ずかしいという感じがあるのではないかと考えています。それを打破するのはすごいなと思います。関連してなんですが、3人とも色々勉強されていると思いますが、より多くの人が興味を持つ表現・キーワードがあると思います。それはみなさんの経験やバックグラウンドが活かされているのかなと感じて、なにかエピソードがあれば教えてほしいです。

私は先ほども言ったように小学校のときから教育格差に興味があったり、生まれた家庭によって人生が変わるなどという問題に興味がありました。どちらかというより政治っていうよりはビジネスに関心があって、大学2年生3年生のときはベンチャーで働いていました。そこで培った能力はもちろんあるしビジネスはやっぱり大事だなとは思うが、市場経済で補えないところをみんなが払った税金で賄っていて、その税金の使い方を決めるのが政治なので、政治も大事だなと感じた。大学で財政を勉強しているのもバックグラウンドだと思います。

日本の政治より、世界の貧困・格差への関心が強かったです。そういうトピックに関心があったときにデンマークに行った。そこでみんなが政治の話をしていて驚きました。なんでそんなに政治のこと知っているの?と思った。普通にみんなでご飯食べているときにも政治の話題が上がったりするんです。それが不思議で、なんで話すのかを聞いたときに、「なんでも政治につながっているじゃん」と言われました。その人が何していても、政治的に変えられることが多いということです。「なんでも政治につながってるじゃん」と言われて、私は府に落ちました。問題を解決するにあったって政治という手段が大事だと思いました。

今、都知事選の振り返りイベントをするために行かなかった人にインタビューしているんですが、そこで共通しているのがあまり困っていない、日常生活と政治の繋がりが見えていないという部分が見えてきました。だからこそ私たちが発信するときはいろんな切り口で政治につなげようと思っています。性教育と政治やファッションと政治。一見、私たちの生活が政治に繋がっていないように見えるけど、その部分にわたしたちの活動がサポート的な役割を果たして、繋がっているんだと気付いてほしいと思っています。

橋渡し的な役割ということですね。

環境とか関心ある人も、政治的に解決しようとしているかと言われたらそうじゃないので、いろいろなトピックと政治を繋げられるように意識しています。

たしかに、若い世代は特に公共性の一部を担っているという感覚はあまりないと思います。だからこそただお金を稼ごうって考えるのではなく、政治などのアクションともつなげようという発想になるんだと思う。そういう部分が若い世代だからこそのバックグラウンドを活かしていると思った。

取り組みのテーマの決め方や、若者の目につくための工夫

私もいくつか拝見させてもらいましたが、とてもわかりやすいデザインだと感じて、すごいなと思います。若者の目に付く工夫などデザインのお話しも教えてください。

NO YOUTH NO JAPANのメインカラーは、2色あるのでその話からしたいなと思います。去年始めたときにフリーランスで活動しているデザイナーさんにお願いしました。その方とはたまたまデンマークでお会いして、ボランティアでお願いしました。30分くらいの短時間で決めたのであまり深く考えていたわけではないですが、意味を込めた2色にしました。私たちがターゲットとしている10代、20代の人ってまだ自分の思想や決まった意見を持っていない人がほとんどだと思うんです。私たちの立場は『積極的中立』なので1色に染めるのではなく、いろいろな色を紹介することで自分はこの色からもしれない、とか色々な考え方があるんだよということを伝えたかったのです。あとは若者らしいフレッシュさというところで明るい色にしたいというのと、いろいろな政党のカラーに被らないようにと考えた結果、オレンジしかないとなって。もう1色は反対の色にしました。

デンマークに留学中に始めたとおっしゃっていましたが、デンマークでこの投稿を始めたということですか?

そうです。初めてからの3か月はデンマークにいました。

なんでデンマークにいながら日本で活動しようと思ったんですか?

もともと私が留学先にデンマークを選んだ目的の1つになんでそんなに若い世代の投票率が高いのかを知りたいという部分がありました。実際に、国政選挙があって、当時の様子も見てすごいなと思いました。教育も違ければ、制度も違う。違う部分が多すぎてなにから変えていけばいいのかわかりませんでした。その話をデンマークの友達に話したときに、あなたもその社会を作っている一員でしょ、できることからやるんじゃないのと言われて、そうだなと思ったんです。そのときに私にできることを1つずつやろうと思いました。あとは時間もあったので、それも大きいです。

デンマークにいながらやるってすごいなと思いました。日本にいる私たちにそんなに発信力はなかったし。現地で見るインパクトはすごいんだと思いました。先ほど留学の経験があるメンバーが多いという話もあったがそういう経験が活動したいという考えにつながるんですかね。あと、教えてほしいんですが、制作物を作るとなったときには、自分たちで作っているんですか?

ラフの絵まで私たちで描いて、それをデザイナーさんにお願いしてポスターを作っていただいています。


インタビューの様子(写真)

大切にしていることと、取り組みの中で嬉しかったことや苦労したこと

ムーブメントを起こし続けているところがすごいと感じているんですが、大切にしていることや、取り組みの中でうれしかったこと・苦労したことを教えていただきたいです。

実際1年間振り返るとフォロワー1万5千くらいで、その後は3月くらいまで停滞気味でした。8か月でやっと1000人増えるくらいの緩やかな感じでした。その後、コロナがあったりBlack Lives Matterのムーブメントがあったりとか、東京都知事選、検察庁法案などのきっかけがあってまた伸びた感じです。デンマークがそうなのですが、参加型デモクラシーと呼んでいる考え方があって、政治や社会のシステムが決まる過程にみんなの参加があるというようなシステムです。私はこれを大事にしたいと思っています。自分たちの声を届けるから納得感を持って活動できるということがあると思っています。そういう自分もこの社会の一員だし、変えたいことがあれば声を上げて活動するということを大事にしていきたいという思いはずっと変わりません。あとは、NO YOUTH NO JAPANも小さな社会だと思っています。最初からうまくいっていたわけではないが、自分がいる小さなコミュニティだと思っていて、変えていきたいことがあれば声を上げて変えていくことができる組織であり続けたいと思っています。

組織も参加型でつくれるというのはすごいですね。

NO YOUTH NO JAPANの見方をフォロワーに押し付けないというのはいつも気を付けています。できるだけいろんな意見、反対・賛成の意見どちらもできるだけ取り上げたいし、これが正解とか、そういう考えを押し付けたくないと考えています。みんなに意見を持ってほしいからこそ、自分たちから発信するだけでなく、フォロワーからも発信してもらえる双方向的なメディアであることを意識しています。嬉しかったのは、「いつも見てます」とか、停滞時期にもフォロー外さず見てくれていることを知ったときとかですかね。今年からは月ごとでテーマを変えているんですが、興味あるトピックがきっかけでフォローしてくれた人が次のトピックになった後もちゃんと見てくれている人がいるのはうれしいです。あとはコメントをつけてシェアしてくれるとかも嬉しいです。苦労したことは、難しい話なのでいっぱい調べるけど、それを全部伝えることはむずかしくて、フォロワーを想定して内容を柔らかくしていくのが難しいです。詳しさ・わかりやすさ・網羅性をどうとるかでいつも悩みます。最近はNO YOUTH NO JAPANのメンバーが増えてきたからこそ、突発的な事象にも対応できるようになってきているなとは思うけど、時事的な話題を扱うのはしんどいですね。内部でのコミュニケーションとか、わたしたちの組織も社会の1つだという責任を持つことが大事だと思っています。

大切にしていることは、わかりやすさです。難しいこととかはニュースをコピペしても作成物はできるけど、ぱっとみて言葉が分かるかとか、誰も傷つかないかはとても気にしています。デザインも気を遣ってくれているので、作る方もこう言ったらこう思うんじゃないか、とか考えている。差別問題を取り上げるときに、部落差別や琉球差別があるなかで、他の差別も取り上げた方がいいのかな?とかいろいろ考慮しました。うれしかったことは、友達が見てるよって言ってくれてることはもちろんうれしいが、有名人がシェアしてる人見ると、うれしい!ってなります。ハッピーシェアチャンネルというものを私たちは作っていて、NO YOUTH NO JAPAN関係で幸せだったことがあるとみんなにシェアするんですけど、そこで盛り上がります。苦労しているのは、都知事選の投票率が結果的に下がったり、私たちのあいだでは盛り上がっているけど、まだ社会全体は変えられていないのは課題だなと思う

言葉を届ける中で、誰もいやな気持にさせないということの難しさを感じました。

印象的だった言葉が、NO YOUTH NO JAPANさんの中でも、ワカモノの政治離れじゃなくて、政治の若者ばなれという話をされているのが印象的です。私たちも選挙に行こうよというのを発信しているんですが、その中で政治が若者から遠い存在だということが問題になってきていると感じる。これは一緒に考えたいなと思っているんですが、さらに若者が政治に参加するために、今後の展望や、若者が政治に参加するのが当たり前・日常的なことだと思えるために必要なこと、変えていかないといけないことなどを教えていただけたらと思います。

今後の展望は、正直ないというか、いつも考えながらやっています。その中でも思うことはいくつかあって、1つは、若い世代の投票率の低さは何十年と続いてることだと思うんです。それがやっと問題として認知されて、取り組まれ始めました。これは続けていくしかないと思っていて、誰かがしょうがないと言って何もしなくなったら終わってしまう。若者の投票率が低いことって問題だよねって言い続けたいし、途中であきらめたくない。自分と同じように関心を持っている人たちのコミュニティにいたら楽しいけど、そうじゃなくて、投票に行ってない7割の人たちに届けることを目指し続けたい。政治の若者離れがあるから政治家がもっと頑張ってって言うんじゃなくて、私たちから政治に近づいていくアプローチも必要だと思います。批判するだけじゃなく、自分たちができることをやっていく、政治に無関心な人たちとコミュニケーションをとり続けることが大事だと思います。

都知事選に行かなかった人たちにインタビューしているのがすごいと思います。聞かれたらドキッとするというか、罪悪感を抱く人もいると思う。インタビューして気付いたこととかありましたか?

選挙行ってない人も2通りあると思っています。1つめは、わざと投票にいかないという選択肢をとっている人。情報リテラシ―は高くて情報をしっかりと集めているけど不満はないから行動しないと選択したり、政治について発信することがださいじゃないけどかっこ悪いを思っている、方向性がおかしいなと思っている人とかもいました。もう1つは、生まれたときから政治が身近じゃない人。周りの人も行かないし政治について話すことがない、いつ選挙があるかもわからないという感じの人たちがいました。アプローチは2つのタイプでは違うと思うので、戦略を練っていくことが必要だと思うし、そのためのインタビューなので今後踏み込んでいけたらなと思います。

大学生へ向けてメッセージ

大学生ってまだまだ人生長いと思います。どういう社会にしたいのか、どういう日本で生きたいのか、それを実現するための手段として政治を捉えてほしいし、これからどうしていきたいのかを一緒に考えてもらえたらうれしいです。

大学は出会いの場だと思います。政治について話すことは、自分たちが生きたい社会を話すことだと思うので、いろんな人と対話して、いろいろな考え方を知るという、政治に関わる第1歩を踏み出してほしいです。

社会に対するモヤモヤは政治に関係あったり、関係なくても声を上げたら変わることが多いと思います。日常で、これは違うと思うとか、違う社会で生きたいってなったときに、何か1つできることはないかなと思える人が少しでも増えたらいい社会になると思います。若い世代なくして次の日本はないという意味を込めてNO YOUTH NO JAPANという名前を付けました。そう思える仲間が少しでも増えたらいいなと思っています。偉そうに言えることはないと思いつつ、声を上げれば変わるかもしれないと思える人を諦めずに増やしていきたいです。SNSでシェアする、いいなと思ったアカウントをRTするとか小さなことから行動してもらえたらと思います。

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