哲学本ガイド 先輩おすすめ篇

特集「哲学を読もう」記事一覧

後半の哲学本ガイドは、『読書のいずみ』委員・読者スタッフが学生生活の中で見つけた本をご紹介します。  
  • 岡本裕一朗
    『人工知能に哲学を教えたら』
    SB新書/定価902円(税込)購入はこちら > 何やら便利だけど複雑でどんな仕組みかよくわからない人工知能。その人工知能に哲学を教えたらどうなるのかということが書いてある本です。どうやら人工知能にはこのような哲学的な思考を必要とするようです。この本を読んで人工知能の抱える問題と共に哲学について考えてみてはいかがでしょうか。

    (愛媛大学/河本 捷太)

  • 源河 亨
    『感情の哲学入門講義』
    慶應義塾大学出版会/定価2,200円(税込)購入はこちら > 2021年1月に発売されたので、哲学入門を扱った本では日本で最新かもしれないなぁという優越感に浸りながら読んだ。ズーム形式で行われた大学講義を書籍化した入門者に最適な一冊。この前人生最大の「憂うつ」に溺れたが、第9講が「憂うつは進化によって獲得したものだから意味ある感情ではないか」と助け舟を出してくれた。

    (お茶の水女子大学/木村 真央)

  • 熊野純彦
    『西洋哲学史 古代から中世へ』
    岩波新書/定価990円(税込)購入はこちら > 西洋哲学を、そのはじまりから中世に至るまで、それぞれの時代についてわかりやすく解説してくれている一冊です。それぞれの哲学者たちの思考が筋道立てて説明されており、また哲学者同士の関係性にも触れられているため、文章がすんなり頭に入ってきました。表現もとても美しく、何回も読み返し、隅々まで味わい尽くしたいと思った作品です。

    (京都大学/徳岡 柚月)

 
  • 出口治明
    『哲学と宗教全史』
    ダイヤモンド社/定価2,640円(税込)購入はこちら > 内容はタイトルの通り哲学と宗教。そして総ページ数400を超える分量。一見ハードルが高そうですが、読んでみると平易な文章で表現されていたり、豆知識が掲載されていたりするので、非常に読みやすいです。また、人物の相関図が付いており、視覚的にも理解しやすいです。哲学が初めましての方にも、しっかり学びたい方にもおすすめです。

    (愛媛大学/河本 捷太)

  • 鷲田清一
    『ひとはなぜ服を着るのか』
    ちくま文庫/定価836円(税込)購入はこちら > タイトルからして哲学的! 大学入学に向けて一度読んだけれど、当時の私にはちょっと難しかった。でも、自分の目で直接見られない身体を、服を着ることで感じているという考察は記憶に残っている。「服を着る」という当たり前で身近な行為も、改めて考えてみると面白い。

    (お茶の水女子大学/川柳 琴美)

  • 岩田靖夫
    『ヨーロッパ思想入門』
    岩波ジュニア新書/定価990円(税込)購入はこちら > 西洋哲学の二つの大きな土台であるギリシア思想とヘブライ信仰についての基礎知識、そしてそれらがどのように西洋哲学の核に組み込まれているかについて学ぶことができます。「デカルトやカントらの本を読みたい!」と思っている方は、まずこの本から始めてみてはいかがでしょうか。彼らの著作に挑む上での基礎の基礎が身に付きます。

    (横浜国立大学/田中 匠)

 
  • 平原卓
    『読まずに死ねない哲学名著50冊』
    フォレスト出版/定価1,320円(税込)購入はこちら > この本の特色は、一冊で50冊の哲学書を紹介していること。哲学は、前の思想を受けて次の時代の思想が登場するが、本書は時系列で次々と思想を紹介。一読しただけで、まるでスカイツリーから街並みを見下ろしたように、哲学の潮流を俯瞰できること請け合いだ。「大学生のうちに哲学を勉強したい」「でも難解で何から勉強すればいいのか分からない」そんな人に胸を張っておすすめする一冊である。

    (東京経済大学/内田 充俊)

  • 山田史生
    『哲学として読む老子』
    トランスビュー/定価2,750円(税込)購入はこちら > 訳、書き下ろし、著者の見解、という3ステップで「老子」を読み解いていく本書。「老子」の解釈本の中でも初学者に適した一冊だと思う。抽象概念の説明やその関係性についても言及されておりつまずくことなく読み進めることができる。前から読み進めるのも良いが、文索引がついているので気になる文からランダムに読んでみるのもおすすめ。

    (京都大学大学院/畠中 美雨)

  • 野矢茂樹
    『哲学な日々』
    講談社/定価1,485円(税込)購入はこちら > 「来た、見た、勝った」とは将軍・政治家のユリウス・カエサルの発言だ。それになぞらえるならば「買った、読んだ、眠くなった」となるのが哲学書ではないか。そう思えるくらい哲学書は難解だ。そんな中でゆるくエッセイ調で読める哲学書こそが、本書『哲学な日々』だ。しかも書き手は当代きっての哲学者。ソファーに寝転んで哲学したいあなたに、『哲学な日々』を心からお勧めしたい。

    (東京経済大学/内田 充俊)

 
  • デカルト〈谷川多佳子=訳〉
    『方法序説』
    岩波文庫/定価572円(税込)購入はこちら > 1637年に出版されているので、難解な言葉が多く読み易くはない。しかし、一つひとつの言葉を定義しながら進み、本文よりもボリュームがある訳注のおかげで時代背景を踏まえながら読み進めていける。「理性はすべての人において生まれつき相等しい」と宣言してはじまる本書、ぜひ先入観なく読んでほしい。

    (京都大学大学院/畠中 美雨)

  • ボーヴォワール〈青柳瑞穂=訳〉
    『人間について』
    新潮文庫/定価506円(税込)購入はこちら > 〜自由であるとは、責任が有り、意思決定権が有り、そして孤独である。〜
    人間は本質的に孤独であり、だからこそ一生を通して歩き続けることができるのです。
    作中の「人間は常に出来事を過去のものとして、それを追い越し続ける存在だ」ということばに明日を生きるための元気がもらえました。

    (名古屋大学/岩田 恵実)

  • プラトン〈中澤務=訳〉
    『饗宴』
    光文社古典新訳文庫/定価1,034円(税込)購入はこちら > 実際問題、哲学の古典は難解で挫折しがちだ。でも哲学の古典にちょっと興味がある方は、まずはプラトンから入るのがおすすめ。この『饗宴』、怒られることを承知で極めてざっくり今風に言えば、「推し神の尊さを語り合う会レポ」。少し難しめな小説感覚で読めるし、解説パートが充実しているので、挫折なしに二度三度と読みたくなる。

    (北海道大学大学院/沼崎 麻子)

 
  • 國分功一郎
    『暇と退屈の倫理学 増補新版』
    太田出版/定価1,320円(税込)購入はこちら > 本書では「暇」「退屈」とは何なのかを有名な哲学思想や歴史的事実を織り交ぜながら考えていきます。現代人は「暇」ではないけれども「退屈」だと感じる人が多いみたいですが、それはどうしてでしょうか。「退屈しのぎ」をする人は、真に退屈から脱しているのでしょうか。哲学を身近に感じられる一冊です。

    (名古屋大学/岩田 恵実)

  • ヘルマン・ヘッセ〈高橋健二=訳〉
    『シッダールタ』
    新潮文庫/定価572円(税込)購入はこちら > 本書では青年シッダールタが修行の旅に出たと思ったら、商人になったり遊女と恋に落ちたりと山あり谷ありの生涯を送ります。その人生の中で見つけた彼自身の「哲学」を、本書を通じてうかがうことができます。結局どんなありがたい教えを乞うよりも、自分で体験して信念をつくりあげていくことが大事だと教えてもらいました。

    (名古屋大学/岩田 恵実)

  • 川村元気
    『世界から猫が消えたなら』
    小学館文庫/定価682円(税込)購入はこちら > 世界から○○が消えたなら。きっと誰もが、一度は考えたことがあるだろう。消えるって? いなくなるって? 死ぬって? そんなことを、主人公「僕」を通して考えられる。私はこの本を読んで、「生きてやる!」と強烈に思った。重いテーマだが、割にコミカルなので気軽に読めるはず。異なる魅力のある映画版もあわせてぜひ。

    (お茶の水女子大学/川柳 琴美)

 
  • 戸谷洋志、糸谷哲郎
    『僕らの哲学的対話 
    棋士と哲学者』

    イースト・プレス/定価1,760円(税込)購入はこちら > 大学時代、同じ研究室で哲学を学んでいた将棋棋士・糸谷哲郎八段と哲学者・戸谷洋志先生の対談本。哲学の授業で習うような話はなく、二人の哲学者が日頃考えていることを戦わせていくという形式で対話が進んでいく。テーマは「人間」だが、比較的身近な話を切り口としていて、誰もが気軽に読み進められる一冊。

    (お茶の水女子大学/仲摩 明音)

  • ワタナベアニ
    『ロバート・ツルッパゲとの対話』
    センジュ出版/定価1,980円(税込)購入はこちら > ロバート・ツルッパゲが身の回りの事柄をきりくちに、哲学を語る本。へんてこなタイトルだけど、読ませられる。哲学書というよりは、ひとりの哲学についての考察という感じ。胸を刺されるかもしれない。だけど、笑いながら読める本ですよ。

    (岡山大学/末永 光)

  • 吉野源三郎=原作・羽賀翔一=漫画
    『漫画 君たちはどう生きるか』
    マガジンハウス/定価1,430円(税込)購入はこちら > 大流行りした本を手に取りました。漫画だったのでサラサラと読めました。今私が抱えている問題、前抱えていたけど忘れ去っていた問題に悩んでいる主人公がいました。こんな悩みがあったなぁと、痒い所に手が届いて心地よく、これから頑張って生きたいと思える本です。行動したいけど踏み出せない人に是非読んでほしいです。

    (金沢大学/品田 遥可)

 
  • 糸井重里
    『ボールのようなことば。』
    ほぼ日文庫/定価814円(税込)購入はこちら > さらっと読めるのに心に残る、何度でも読み返したい言葉を糸井さんはボールのように読者に投げかけてくれます。今の私が考えても、ぼんやりとしか分からないこともありました。でもきっと今すぐに分からなくていいのかな、なんて思えてくるのです。「哲学」というほど固くなくて、温かくてやわらかい、そんな本です。

    (津田塾大学/北田 あみ)

  • 高森顕徹=監修
    明橋大二・伊藤健太郎=著

    『なぜ生きる』
    1万年堂出版/定価1,650円(税込)購入はこちら > こういう本が読みたかった! 今、なぜ生きるのか、なぜこれからも生きていかなければならないのか。愛とか趣味は大切だけど、それじゃあどこかつまらない。どんなに幸せな時も、虚しい気持ちが無くならないのはなぜか、に答えてくれる本です。今悩んでいる全ての人に手に取ってほしい。「はじめに」だけでもいいので読んでください。

    (金沢大学/品田 遥可)



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