第17回全国読書マラソン・コメント大賞
優秀コメント発表!!
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▼特集「大学生協の読書マラソン」記事一覧

【主催】全国大学生活協同組合連合会
読書の楽しさを伝える読書マラソン。第17回全国読書マラソン・コメント大賞は、初のインターネット応募受付のみでの開催でしたが、応募総数は505通、例年同様作品への熱い思いが詰まったコメントがたくさん寄せられました。
ここに、12月20日の選考会で選ばれた、栄えある授賞作を発表いたします。

川柳 琴美さん
(お茶の水女子大学)
『推し、燃ゆ』
宇佐見りん/河出書房新社
受賞のことば
この度は、本好き冥利に尽きる素晴らしい賞をありがとうございます。よいコメントの定義は様々だと思いますが、その一つに選んでいただけたことを大変光栄に思います。
昨年銅賞をいただけたことを励みに今年も応募したのですが、まさか金賞をいただけるとは思ってもみませんでした。継続は力なり、そして、多くの素敵な本やコメントに出会わせてくれる『izumi』に感謝したいです。
また、大好きな『推し、燃ゆ』で受賞できたことも、嬉しく思っております。このコメントが、本と人との素敵な出合いのきっかけとなってくれることを願います。
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香村 大希さん
(愛知教育大学)
『正欲』
朝井リョウ/新潮社
受賞のことば
この度は、このような光栄な賞をいただき、大変嬉しく思います。他の人のコメントを読むことは、今まで知らなかった本と出合うチャンスだと思います。私のコメントが、誰かがこの小説を手に取るきっかけになれば嬉しいです。
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野田栄太郎さん
(北海道大学)
『下流志向』
内田 樹/講談社文庫
受賞のことば
今回銀賞を受賞することができ、光栄に思っています。コメントを書くことを通して、自分が読んだ本との関係がさらに深まったように思います。これからもたくさん本を読み、コメントを書いてゆきたいです。
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『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
大前粟生/河出書房新社
受賞のことば
光栄です。とても素敵な小説なので、自分のコメントをきっかけにこの作品に出会う人が一人でもいたら嬉しいです。
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『女子学生はどう闘ってきたのか』
小林哲夫/サイゾー
受賞のことば
友人の紹介でこの本を手にしました。その友人はいつもいろんな刺激をくれるので感謝しています。この本は、大学という私たちにとって身近な場所で起きてきたことが取り上げられており、自分ごとにつなげやすいのではないかと思います。身の回りのジェンダーについて考えるきっかけとして、多くの方にも読んでいただきたいです。
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『自閉症の僕が跳びはねる理由』
東田直樹/角川文庫
受賞のことば
この度はこのような賞をいただき、とても光栄です。ありがとうございます。
本を読むことは好きですが、最近は時間がないことを言い訳に読む機会が減っていました。自分は教員になる予定なので、子どもたちに読書の楽しさを教えながら、自分も読書を続けていきたいです。
※金・銀・銅賞のコメント画像は、各賞決定後、受賞者に手描きで清書していただいたものを掲載しています。
ナイスランナー賞は122点が選ばれました。今回はその中から12点をご紹介します。
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『フェルマーの最終定理』
サイモン・シン〈青木薫=訳〉/新潮文庫 私がフェルマーの最終定理を知ったのは動画投稿サイトである。数学が苦手だったのにも拘わらず、その動画で紹介されている歴史に釘付けになった。
実際にこの本を読んでみて、数学の歴史や熱意を知ることができた。中でも私が印象に残っているのは、数学者の研究スタイルである。数学者は孤独に黙々と研究を進めているものだと思っていたが、実際の数学者は他の数学者と対話をし、自分の研究の精度を高めている。現代に生きる私たちよりも他者と対話をしているのだ。
数学の知識だけでなく、人との関わりの重大さを教えてくれる本だった。
珠樹さん(桜美林大学)
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『ぼくたちの外国語学部』
黒田龍之助/三修社 外国語学部で非常勤講師をしている著者のもとには、言語が大好きで熱く語れる学生たちがやってくる。彼らの専攻は様々で、いきなり新しい言語をやってみたり作者を驚かせたり心配させたり……。読んでいて思わずハラハラする。
外国語をまっすぐ愛しながらも時に立ち止まり迷う学生たちを、本名も顔も知らないのになぜか応援したくてたまらなくなる。外国語学部の中で生きる彼らのドキュメンタリーのような、外国語に対する新しい考えをたくさん吸収できる入門書のような、どちらでもありどちらでもない、不思議で愉快な本。
サヤカさん(慶應義塾大学)
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『本を守ろうとする猫の話』
夏川草介/小学館 私は大学に入学したとき、これからできるだけたくさんの本を読み、知識を得て見聞を広めたいと勇んでいた。読めば読んだ分だけ自分の糧になってくれると信じていたからである。
この本を手にしたのはちょうど読書の習慣がつき始めた頃だった。私は、同書で語られた言葉に大きな衝撃を受けた。
「ただがむしゃらに本を読めば、その分だけ見える世界が広がるわけではない。」これは私が信じてきた考えを大きく覆すものだった。しかしこの言葉は、得た知識をかみ砕き、自分のものにしていくことの重要性を教えてくれた。
さぼてんおにぎりさん(信州大学)
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『アルケミスト 夢を旅した少年』
パウロ・コエーリョ〈山川紘矢+山川亜希子=訳〉/角川文庫 私の理想の生き方だと思った。
自分が本当に求めているもののために考え、不自由の無い環境を捨て、財産をつぎ込む。他人にどう思われようと、自分の心にただ正直にこたえ、自分を信じて生きていく。この世界の厳しさを知っている人からすれば、笑い飛ばされてしまう理想論にしかすぎないのかもしれない。それでも、自分の心の声を無視して生きてきた私には鮮明に心に刻み込まれる物語だった。苦労せずに生きていくために無難な道を選び、いつしか自分の心の声が聞こえなくなっていた。久しぶりに自分の心の声が聞こえた気がした。
通信士さん(北海道大学)
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『怪盗クイーン ケニアの大地に立つ』
はやみねかおる/講談社青い鳥文庫 「世界なんて壊れてしまえばいい」
就職活動の時、社会に出ることに絶望して似たようなことを考えた。子どもの頃は、世界を調和のとれた素晴らしい場所だと思っていたのに、成長するにつれて歪みや課題が見えてくる。人は皆平等だというけれど、持って生まれたものや取り巻く環境は異なり、完全な平等なんてない。自分になにができるか考えたとき、あまりの無力さに愕然とするけれど、本書の登場人物のように自分にできることを周りと協力しながらコツコツと積み重ねていくしか、壊れろなんて思わない世界を作る道はないのだなと思った。
リーリーさん(愛知教育大学)
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『となり町戦争』
三崎亜記/集英社文庫 「戦争」という言葉を聞いて、どのような光景を思い浮かべますか? 頭上を爆撃機が飛び交い、戦車が火を吹く光景?
銃声と共に、人々が血を流して倒れる光景? この本には、そんな戦争の光景は出てこない。戦争は、人々の前に目に見える形では現れない。しかし、戦争はこの町のどこかで確実に起こっている。そして、何人もの人々が戦死している。読み進めるにつれて、語り手と共に私も何度も考えさせられる。この戦争はどんな意味を持つのか、この戦争は本当に必要なのか—? この本からは、戦争の理不尽さがにじみ出ている、そう感じた。
トロイの木馬さん(大阪大学)
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『52ヘルツのクジラたち』
町田そのこ/中央公論新社 「共鳴」。この言葉が読み終わった瞬間に頭をよぎった。「経験が人を強くする」という言葉を聞くが、全くその通りである。救われたものが他の困っている人を救う。たとえ失敗したとしても新しい一歩を踏み出して進んでいく。とても力強かった。しかし、強くなるには人の力が必要になるわけで……。はぐれてしまったクジラのように助けを求めなければいけない。
電車で読み進めていたため涙は流すまいと必死にこらえたが、家で読んでいたら床に涙の水たまりができていたことだろう。この本と共に心が強くなったと感じる。
あおたんさん(東京農業大学)
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『砂漠』
伊坂幸太郎/実業之日本社文庫 「大学生でいられる時間は人生最後の夏休みである」とよく言われる。いざ大学生になると、その日を生きることに精一杯で「休み」を実感することなんてなかった。「お金がない」とバイトに明け暮れる日々ですらも、あと数年後、「砂漠」に出たら懐かしく思えるのか な……。「西嶋」のように周囲からどんな目で見られても、泥臭くてもいいから、堂々と前を向いて生きていきたい。そして、大学でしか出会えなかった友人たちに改めて感謝したい。
ぽにょさん(立命館大学)
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『いい感じの石ころを拾いに』
宮田環己/中公文庫 この本で拾う石は宝石ではありません。一円にもならない価値のない石、でもなんか“いい感じ”のする石、そんな石です。
海に行って、石ころを拾って、帰る。それだけ。それだけなんですが、ただただ無心に良い感じの石を探すその時間は、忙しい現代人の私たちにとって、とても心地よさそうに感じました。
自分の「良い」「好き」の感覚に素直になって集めたコレクションたちは、個性もあり、不思議な魅力もあり、素敵なものばかりでした。金銭的価値のないただの石、でも、だからこそ、この味わい深い魅力があるのだろうと感じました。
ベーグルさん(富山大学)
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『そして、バトンは渡された』
瀬尾まいこ/文春文庫 この本は実の親ではない父親と2人で暮らす女子高生、優子の物語である。
親子も、人と人とのつながり。しかし、とても特別な存在。それは血が繋がっているからではないのだと感じた。この本は親という存在について考えさせられた。「親からの無償の愛」よく聞く言葉だが、この物語には、こんなありきたり簡単な言葉では済まされないほど深く広い愛がたくさん詰め込まれていた。
私も「自分の明日」と、誰かを想って「自分より大事な明日」がやってくる毎日を過ごせるような愛を注げる人になりたいと思う。
はなちゃんさん(明治薬科大学)
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『20代で得た知見』
F/KADOKAWA 『人生は忘れがたい断片にいくつ出会い、心動かされたかで決まる』
「忘れがたい断片」って何だろう。そんな気持ちで手に取ったこの書籍。暇つぶしで読んだ本の忘れられないフレーズ。家族や友人の何気ない言葉。顔も名前も知らない人のコメント。日常生活の中で出会うハッとさせる言葉たち。
偶然出会えば、自分の価値観をひっくり返してしまう。悩みなんてちっぽけな物に思えてくる。
この書籍で出会った様々な言葉は、私の「忘れがたい心動かされた断片」であります。
ホウキ猫さん(東京工芸大学)
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『すべて忘れてしまうから』
燃え殻/扶桑社 ずっと忘れたくない言葉。人生で忘れられない言葉。燃え殻さんの紡ぐ言葉はそんな言葉だらけなのに、それですらいつかは何もかも忘れてしまう。著者自身がそう語っていることにかけがえのなさのようなものを感じて大好きだと思った。私達はどうしても抗うことのできない事にまみれながら生きている。しんどくてきつくて腹が立つけど、仕方のないことだってあるのだ。もしかしたらほとんどがそうかもしれない。でも私達がいつかはすべて忘れてしまうのだとしたら、せめて忘れる前に幸せな人生だったとただそう思えたら充分かもしれない。
ちりすーぷさん(徳島大学)
選考を終えて

2年連続でコロナ禍のなかでの読書マラソンとなってしまいました。開催を危ぶむ声もありましたが、多くの学生に参加していただけました。ありがとうございます。厳しい状況のなかでも本を読もう、書物に向き合おうという皆さんに頭が下がります。
コロナ禍がつづくなか、勉強もサークル活動も思うようにはできない。高校生のころ思い描いていた学園生活とはまるで違うことに戸惑い、うまく消化できない学生も多いことでしょう。そうした不安への解答を書物の中に見つけよう、あるいは手がかりを探そうという姿勢が、コメントからも読み取れます。
ここに描かれているのは私だ。これは私のために書かれた本だ。そうしたコメントがたくさんありました。まるで書物と直につながるような感覚は、まさに読書の醍醐味です。そのような瞬間を持てたことを祝福します。
また、書かれていることを鵜呑みにするのではなく、いちど咀嚼したうえで自分の尺度で再検討し、評価しようとする態度も感じました。読む力のある学生が多いのでしょう。
これまで以上に難しい選考でした。優秀なコメントが多く、甲乙つけがたかったのです。選考委員はみな悩みながら迷いながら票を投じ、ディスカッションしました。別の人が選考にあたれば、違う結果になったでしょう。
わたしは社会人を対象にした講座で書評の指導をすることもあるのですが、文章については学生の皆さんの方がうまいなと感じます。物心ついたときからデジタル機器に囲まれ、日頃からSNS等で発信することに慣れているからでしょうか。短い文章で自分が感じたことや考えたことを表現し、なおかつそれを見知らぬ第三者に届けようという積極的な気持ちが伝わってきます。読む力だけでなく、伝える力もある。
オミクロン株が猛威をふるうさなかに本稿を書いています。パンデミックの終息はいまだ見えません。書物に学び、未来を切り開いていく学生の皆さんに期待します。
永江 朗(フリーライター)
「ナイスランナー賞」を輩出した62校(五十音順)
- 愛知大学
- 愛知教育大学
- 愛知県立大学
- 宇都宮大学
- 愛媛大学
- 桜美林大学
- 大阪大学
- 金沢大学
- 九州大学
- 京都大学
- 慶應義塾大学
- 工学院大学
- 高知大学
- 埼玉大学
- 札幌学院大学
- 島根大学
- 下関市立大学
- 信州大学
- 西南学院大学
- 千葉大学
- 中京大学
- 津田塾大学
- 電気通信大学
- 東京大学
- 東京海洋大学
- 東京外国語大学
- 東京学芸大学
- 東京工業大学
- 東京工芸大学
- 東京都立大学
- 東京農業大学
- 東京農工大学
- 東京理科大学
- 同志社大学
- 同志社女子大学
- 東邦大学
- 東北大学
- 徳島大学
- 富山大学
- 富山県立大学
- 名古屋大学
- 名古屋市立大学
- 奈良女子大学
- 新潟大学
- 日本福祉大学
- 弘前大学
- 広島大学
- 広島修道大学
- 法政大学
- 北星学園大学
- 北海道大学
- 松山大学
- 三重大学
- 武蔵大学
- 明治学院大学
- 明治薬科大学
- 山形大学
- 山口大学
- 横浜市立大学
- 立命館大学
- 龍谷大学
- 早稲田大学
「ナイスランナー賞」は全国の大学生122名に授賞されました。
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