川柳 琴美
今年に入ってから、毎月のように楽しみにしていることがあります。それは、クラシックコンサートに行くこと! よく分からないし、眠くなっちゃいそうと思ったそこのあなた。先入観で敬遠するのはもったいない! ということで、クラシックをはじめとした歌のない音楽「インストゥルメンタル」の魅力をお届けします。
本が言葉による物語ならば、インストゥルメンタルは音による物語。音楽をかけるだけで、まるで物語の主人公になったような気分になります。今回は、一日の流れに合わせておすすめをご紹介! 映画のサントラや小説に登場する曲もあるので、そちらの物語も一緒にお楽しみください。
まず、朝のお目覚めにおすすめなのが「ハル、起きてるぅ?」。ジブリ映画『猫の恩返し』のサントラに収録されている曲です。目覚ましにセットしておけば、朝の光のような音色とリズミカルなタンバリンが、眠りの世界から優しく引き上げてくれます。
続いて、通学には、映画『コクリコ坂から』のサントラより「朝の通学路」と「エスケープ」がおすすめ。またまたジブリです! この2曲のポイントは冒頭部分で、1曲目は船の汽笛、2曲目は弾むようなピアノで始まります。軽やかな音楽でテンションを上げていきましょう。
お昼には、サティの「ジュ・トゥ・ヴ」で優雅なランチはいかが? 日本語で「あなたがほしい」などと訳されるこの曲、名前は知らなくても聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。私は『蜜蜂と遠雷』(恩田睦/幻冬舎文庫)をきっかけに好きになりました。ちなみに、現在はピアノ独奏が一般的ですが、シャンソンとして作曲されたため歌詞も存在しています。
少し疲れが出てきた午後は、おやつを食べながらラヴェルの「ラ・ヴァルス」でリフレッシュ。英語にすると「ザ・ワルツ」となるこの曲は、煌びやかな舞踏会に参加しているような気分にさせてくれます。コンサートで聴いたときの感動が忘れられないので、これはぜひオーケストラの生演奏で聴いて欲しいですね。
そして、一日を締めくくる夜に聴きたいのが、ドビュッシーの「月の光」。私はこの曲を聴くと、雫となって降り注ぐ月光や、大きな満月を映す湖でボートに乗っている情景が浮かびます。また、この曲をより楽しむには『さよならドビュッシー』(中山七里/宝島社文庫)がおすすめ。本作から始まる「岬洋介シリーズ」は、濃密なミステリーとともに様々なクラシック音楽を楽しむことができます。
さて、ここまで6曲のインストゥルメンタルをご紹介してきました。少しでも興味を持っていただけたことを信じて、ここからはコンサートの楽しみ方をお伝えしたいと思います。
格式張ったイメージがあるクラシックコンサートですが、一度行ってみればその気軽さと魅力に気がつくはず。チューニング、弦を弾く音、拍手に包まれる一体感など、ライブならではの醍醐味があります。公演にもよると思いますが、ジャージのようなラフすぎる格好でなければ、基本的に普段着でOK。演奏曲を知らなくてもパンフレットに解説が書かれていますし、拍手のタイミングも周りに合せれば大丈夫。意識して注意すべきなのは「音」です。スマホは言わずもがなですが、パンフレットをめくる音だけでもかなり響くのでご注意を。
興味は出てきたけれど、チケットが高い……と思った方、私たち学生には「学割」という魔法があるではないですか! 全国の様々な楽団やコンサートに学割がありますが、今回は私のイチオシ「新日本フィルハーモニー交響楽団」をご紹介します。
新日本フィルは、創立50周年を迎えた日本を代表する楽団で、ジブリ映画の管弦楽も担当されています。そんな超一流楽団の定期演奏会には、なんと1,000円の学生券があるのです! 学割は予約なしの当日券という楽団も多い中、ここは電話予約できるのもありがたい。しかも、座席指定は不可ながら、私が経験した限りでは1階前方の良席をとってくださいました。ホールは、楽団の拠点すみだトリフォニーホールと、日本一の呼び声が高いサントリーホール。サントリーホールでベートーヴェン交響曲第7番を聴いたときは、「リアル『のだめ』だ!」と感動が止まりませんでした。
新日本フィルの他の公演や、それ以外の楽団、コンサートでもお得な学割が用意されているので、ぜひ探してみてくださいね。お目当ての楽団のツイッターをフォローしておくと、公演や当日学生券情報をチェックできておすすめです。
定価は税込価格
川柳琴美(かわやなぎ・ことみ)
お茶の水女子大学4年。最近の悩みは時間が足りないこと。残り少ない学生生活、思い切り遊びたい、本を読みたい、だけど卒論も頑張りたい! この記事が読まれる頃には、無事に卒論を提出できていますように……。
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