みんなに教えたい! 推しラジオ
『読書のいずみ』委員&読者スタッフ

特集「音とラジオと」記事一覧

 近頃はラジオもいろいろな形態で聴くことができるようになってきました。充実のコンテンツの中から『読書のいずみ』のスタッフがおすすめする番組/放送局をご紹介します。

 
  • 文学ラジオ空飛び猫たち
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     東京で読書会を主催しているダイチさんと、京都で本の話ができるカフェを運営しているミエさんが、好きな作品や本の読み方について語る番組です。二人がお互いの考えたことや感じたことを尊重しながらのびのびと語ってくださるので、聴いていて心地良いです。紹介される本も海外文学が多く、自分ではなかなか出会えないような本に興味をそそられます。「本が大好きな人たちの会話」を覗いてみたい方はぜひ。

    京都大学3回生 斎藤ゆずか

    配信:Podcast
    更新日:月曜日
     
     
  • ゆる言語学ラジオ
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     言語をギャグに昇華したラジオはこれだけ。パーソナリティは慶應卒の堀元さんと出版社勤務の水野さん。斜に構えた2人の掛け合いは漫才のよう。ボケ倒す堀元さんと、とぼけたふりする水野さん。部屋の隅でぼそっとツッコみたくなるラジオです。言語の要素は3割ほど。せいぜい「エビサンドにのって滑っていきたい」と口から出るようになるくらい(意味を知りたい方は157話)。皆さんもエビサンドに乗りたいですよね……?

    千葉大学3年生 古本 拓輝

    配信:YouTube / Podcast / Spotify
    更新日:火・土曜日
     
 
 
  • お耳に合いましたら。

     会社員の高村美園による、チェーン店グルメ・通称「チェンメシ」を紹介する飯テロポッドキャスト……と見せかけて、実はテレビ東京のドラマ「お耳に合いましたら。」で主人公が配信している番組の再現。音だけなのに、どうしてこんなに食欲をそそるのだろう。聞いたらチェンメシを食べたくなること間違いなし! 美園のキャラクター、チェンメシとともに語られる人間ドラマも疲れた心を満たしてくれます。

    お茶の水女子大学4年生 川柳 琴美

    配信:Spotify
     
     
  • S.I.N NEXT GENERATION

     元V6の年長組である坂本昌行さん、長野博さん、井ノ原快彦さんのラジオ番組です。なんとV6時代も含めて25年以上続いているそう。なぜそんなに長く続いているのか、あなたも聞いてみると分かるかもしれません。お三方のゆるっとしたおしゃべりが、寝る前のリラックスタイムにピッタリです。

    奈良女子大学4回生 高木美沙

    JFN(ジャパンエフエムネットワーク)
    放送日:お聞きのFM局のWebサイトでご確認ください。
     
     
  • オードリーのオールナイトニッポン

     2時間番組の内30〜40分を使うオープニングトークが面白いです。

    静岡大学2年生 鈴木大翔

    ニッポン放送
    放送日:毎週土曜日25:00〜27:00
 
 
  • 中川家 ザ・ラジオショー

     平日のお昼にぴったりのまったりとした番組です。中川家特有の身近な笑いが織り込まれたトークは必聴です。

    静岡大学2年生 鈴木大翔

    ニッポン放送
    放送日:毎週金曜日13時〜15時30分
     
     
  • 子ども科学電話相談

     とても有名なラジオ番組ですが、私は最近になって初めて聴くことになりました。きっかけは「なぜ雨のときに天気が悪いというの? 雨が嬉しい人もいるのに。」という少女からの質問をTwitterで見かけたこと。大人たちが何と回答したのか気になってNHKラジオのHPに飛んでいました。
     番組を聴いてみると成程、子どもたちの疑問は単純でいて難解です。疑問と発見の連続でぐんぐんと引き込まれてしまいます。

    下関市立大学2年生 長安凜

    NHK ラジオ第1
    放送日:日曜日 午前10:05〜11:50
     
     
  • らじる文庫(「らじるラボ」朗読コーナー)

     名作小説、エッセイの朗読。息遣いや声のトーンが生み出す臨場感が大きな魅力。読み手が発した台詞がまるで自分に言われているように感じられ、物語の世界にぐっと引き込まれる。さらに、自ら手に取ることがなかった作品との思いがけない出会いもある。お気に入りは、江戸川乱歩の「日記帳」。主人公は亡き弟の日記帳を読み解くことで、ある切ない「真実」を知る。焦りと好奇心の狭間で揺れ動く主人公の葛藤をひしひしと感じる。

    千葉大学2年生 高津咲希

    NHK ラジオ第1
    放送日:平日午前 随時放送
 
 
高橋源一郎の飛ぶ教室

「今週の飛ぶ教室、聞いた?」「うん、紹介された本のあのエピソード面白かったよね。」「○○についてどう思った?」毎週、「高橋源一郎の飛ぶ教室」の放送を楽しみに聞いている私と母のいつもの会話である。源一郎センセイの授業を受けると、何だか無性に誰かと共有し、意見を聞き、話をしたいという気持ちになる。世の中には、こんな人がいて、こんなことを考えて、こんな作品を発表しているんだ! 毎回、驚きの連続で、自分の知っている世界なんてほんの一部だと痛感させられる。特に印象に残っている授業は、源一郎センセイが漫画家・文筆家のヤマザキマリさんと安部公房の「砂の女」について語っていた回だ。自分が信じて疑わなかった価値観が全く通用しない世界に放り込まれた時、人間はどうなるか、自由とは何か、自由は幸せをもたらすのか、そんなメッセージが込められているというのだ。まさに目から鱗が落ちたように、毎回新しい世界が開けるのだ。

千葉大学2年生 高津咲希

NHK ラジオ第1/
放送日:毎週金曜日 午後9時05分〜9時55分
 
 
和田哲の古地図と歩く
(HBC「朝刊さくらい」内 「桜井宏・今朝の三枚おろし」金曜日のコーナー)
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 地元の歴史なんてつまんなかった。白黒写真、偉い人の名前、祖父母が生まれていない年代の暗記――小学校の社会科の「郷土の歴史」の記憶はそんなものだ。でも、歴史自体はマンガで親しんでいたし、大学で専攻にするくらい好きだった。それがいつしか歴史は複雑な気持ちを伴って、距離を置く存在となった。郷土史を学んだ小学生当時の教室は私の居場所ではなかったし、専攻を変えたのも決して前向きな理由ばかりじゃない。
 7年ほど前、札幌がテーマだと聞いてNHKのテレビ番組『ブラタモリ』を観てみた。なじみのキャンパスが出てきて、ちょっと心が動いた。番組の後半、少し前に通ったすすきのの街、老舗の菓子店、路面電車の中から見た景色とその解説が流れた。その時、現代の自分と、地域の歴史が融合していくような不思議な感覚を得た。郷土の歴史も、歴史自体も、自分に戻ってくるような。歴史いいな、と思ったのはいつぶりだろう。
 その気持ちも薄れて新型コロナが世界に広まった頃、テレビのニュースがしんどくて、朝はラジオを聴くことが増えた。そんな時、ラジオから「和田哲の古地図と歩く!」というタイトルコールが聞こえてきた。偶然にも、あの時の『ブラタモリ』に出演されていた、街歩き研究家・和田哲さんが、札幌や北海道の歴史を地理を交えて解説するコーナーだったのだ。
 ラジオだから、白黒写真も、カラーの映像もない。それでも、和田さんの明るい語り口と、アナウンサーさん達との掛け合いに、小学校の副読本で見た名前が、私が訪れたことのある札幌の各所とカチッとつながっていく。小学校の時から行動範囲が広がったから、なじみの場所が増えて歴史が身近になったんだ。音だけで聞いても、頭の中で地元のあちこちが見えてくる。札幌や道内の行ったことのない場所でも、音で聞くとなぜか親しみを覚える。母も会社が休みの日には、一緒にラジオを聴きながら「確かに昔、〇〇あったなあ」とつぶやく。すると、音と母の持つ記憶を通して新たな線がつながる感じがする。音で歴史を聞くからこそ、想像力に頭を委ねられて、複雑な記憶をいったん外してただ楽しめるのだ。
 複雑な思いは消えなくても、音を通した地元の歴史と地理の融合という新たな楽しみ方が、過去の記憶とほどよい距離を保ってくれる。そして、高校時代に一番私を支えてくれた先生が日本史の先生で、そして教育実習でその先生の地理の授業を聞けた記憶が、これを書きながら温かく心の中に戻ってきている。

北海道大学教育学院 沼崎 麻子

HBCラジオ/
放送日:毎週月〜金曜日6時30分〜9時
(「和田哲の古地図と歩く」は毎週金曜7時40分頃)
 
 
アフター6ジャンクション
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 アフター6ジャンクション(アトロク)で紹介される「カルチャー」は、映画、小説等の主要ジャンルだけでなく文房具、能、絵本と多岐にわたり、映画も小規模な作品、映画パンフレット、小説も難民文学、少女小説とその切り口は深く細かいものです。
 興味を持ったことがない対象が「面白いもの」 「もっと知りたいもの」に変わる。
 好きであった対象の奥深さを知り「もっと好きなもの」に変わる。
 それらの瞬間の感覚自体が素晴らしいだけでなく、その体験は日常生活を楽しいものにしてくれます。僕はアトロクを聴くようになって、今まで文房具に興味がなかったのにお気に入りのボールペンができ、映画館に行く回数も格段に増え、ミニシアターにも行くようになりました。
 人が、好きなものについて、熱量と知識を持ってする話は面白い。聴いていて、強くそう感じるコーナーが「ムービーウォッチメン」です。このコーナーは、番組のメインパーソナリティーであるラップグループRHYMESTERの宇多丸さんが劇場公開中の映画のなかでランダムに選ばれた1つの作品を評論するものです。映画に関して造詣が深い宇多丸さんの映画の見方や知識は勉強になりますが、このコーナーの唯一無二の魅力は、TBSラジオで帯番組を担当するほどに語りが上手くて、映画への愛情や知識もある人が言葉を尽くして、鑑賞してから一週間以内と感情が整理しつくされない期間内に語ることで生じる熱量。この番組に出演するゲストの方々が内容と熱量のある話を聴かせてくれるのは、メインパーソナリティー自身が毎週そのような語りをしているからだと思います。
 アトロクを聴くようになって人と話すのがより楽しくなりました。なぜなら、「自分が知らないものであっても、面白い部分はある」「対象が何であれ熱量をもってされる、その人が好きなカルチャーの話は聴いていて楽しい」ということを実感できてから、相手に訊きたいことが増えたからです。
 アトロクの過去の放送は、TBSラジオクラウドなどからポッドキャストで聴けます。先ずは、「ムービーウォッチメン」のコーナーで見たことある作品の評論、アーカイブから自分が好きなもの、気になっているものをフォーカスしている放送回を聴くことがオススメです。

名古屋大学法科大学院 光野康平

TBSラジオ/
放送日:月〜金 18:00〜21:00
 
 
FM802
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 子どもの頃、車の中で、たまにラジオが流れていた。母が昔から聞いている局だそうだ。でも私は正直、ラジオじゃなくてカーステレオをかけてほしいな、と思っていた。当時の私は(割と今もだけれど)車ではずっと歌っている子どもだった。お喋りなしの、ずっと音楽のラジオがあればいいのになぁ、なんて考えたりもしていたのだ。
 中学生、高校生、と年齢が上がるにつれ、車に乗ることも減り、カーステレオともラジオとも疎遠になっていった。そして浪人生になった春、転機が訪れた。スマホを手に入れたのだ。それまで家はガラケー民しかいなかったのが、一転スマホ一家となった。
 さて、スマホを持ったらまずすることといえば、アプリを入れることであろう。最初に「radiko」をインストールしたのはやはり母である。朝食の時間、ラジオがかかるようになった。そして、昔はあまり好きではなかったはずのラジオは、唐突に私の「好き」アンテナに引っかかったのである。
 きっかけは、たまたま流れていた番組のDJさんの声が好きな声優さんの声に似ていたことだったと記憶している。トークも楽しく、浪人生の早朝に、パワーを注入してくれる太陽のような存在だった。そこからラジオが気になりだした私は、自分のスマホにradikoを入れ、予備校からの帰り道や日曜日のまったりタイムに聴くようになった。本格的にラジオにハマったのは、ポルノグラフィティの岡野さんとAimerさんが対談する番組を聴いたとき。たしか1ヶ月間毎週日曜日に放送していたものだったと思う。アーティストさんたちの生のトークが聴けるんだ、と興奮し、予備校からの帰り道、リアタイで聴きながら歩いたのを、その時感じた初夏の軽やかな夜の空気まで覚えている。
 申し遅れたが、母が昔から愛し、私が大好きなラジオ局は、FM802という。大阪の、とってもあったかいラジオ局だ。個性豊かなDJさんたちのトークは、電車で聴いていて思わず吹き出しそうになったり、悩みの相談への親身な言葉にグッときたり。楽しいリスナーさんたちとの応酬はもう漫才。毎月のヘビロテの選曲も素晴らしくて、曲もそれを奏でる人も、「大好き」がどんどん増えていく。色々なゲストのアーティストさんの、まだ名が知られていない時から応援してくれて、地元じゃないけどホームみたいな場所という言葉が、自分が褒められてるみたいに嬉しい。いつか私が関西から離れる日が来ても、電波が届く限り、ずっと聞き続けたい。

京都大学大学院修士1回生 徳岡柚月

 

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