あの人に、この本を……
『読書のいずみ』委員&読者スタッフSelection
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▼特集「冬」記事一覧
冬は贈り物の季節ですが、もし誰かに本を贈るなら
――『読書のいずみ』のスタッフが大切な人を思い浮かべながら選んだ本を、想いとともにご紹介します。
岡野大嗣
『うれしい近況』
太田出版/定価2,200円(税込)購入はこちら > 優しくてきらきらしている歌たちは、お菓子をつまみながら「あるよね〜!」とニコニコしあいたい。スッと刺してくる歌は、「実はこういうことあってん……」と普段なかなか言えない話を聞きたい。日常を切り取る短歌たちは、近くに居る大事な人と味わうと、より自分たちのものになる。一緒に読んだらもっと仲良くなれる本。
(徳岡柚月)
青山美智子
『マイ・プレゼント』
PHP研究所/定価1,760円(税込)購入はこちら > 「自分では買わなそうな、必要不可欠ではないけれどあると嬉しいものをあげる」という私的プレゼント選びのモットーにしっかりあてはまる本です。また、背中を押してくれるような、一緒に泣きたくなるような作品がたっぷりつまっていて、大切な人のそばにふわふわと存在してほしいなと思える本なのでこの本を選びました。
(力武麗子)
石川賢治
『月夜の晩に』
小学館/定価5,500円(税込)購入はこちら > 30年以上にわたり、満月の光のみで撮影を続けてきた「月光写真家」石川氏の最新作。夜の世界は、昼の世界よりも、不思議に、莫大な「生」のエネルギーがある。写真には圧倒的な量の物語が存在し、受信したことを友人と語り合いたい。空は繋がっているし、闇の中であっても、この世界には必ず光が存在するから、大丈夫。
(徳岡柚月)
小田実
『何でも見てやろう』
講談社文庫/定価924円(税込)購入はこちら > 時代は違えど旅する気持ちは変わらない。戦後まもなく、ほとんど身ひとつで世界一周貧乏旅に出た青年がいた。バックパッカーのはしりである。破天荒な旅路の最中、青年は世界の端から端まで何でも見る、何でも書く。ページを開くと時空を隔てて当時の風景が立ちあがる。自分の殻を破らんと海外へ飛び出す勇気ある君へ。
(中川倫太郎)
石垣りん
『朝のあかり
石垣りんエッセイ集』
中公文庫/定価990円(税込)購入はこちら > 「表札」「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」で知られる詩人のエッセイ集。高等小学校を卒業後、14歳で銀行に就職し定年まで勤め上げながら詩作を続けた日々のことが綴られています。生活の実感がこもった確かな手ざわりのある言葉に、目の前の物事を愛おしみながら毎日を過ごしていこうという気持ちになれる一冊です。
(三好一葉)
ヨシタケシンスケ
『もりあがれ! タイダーン』
白泉社 MOE BOOKS/定価1,650円(税込)購入はこちら > この本を選んだのは、ヨシタケシンスケさんが大好きな友達がいて、「この対談集が読みたい!」と一緒に話していたから。
(永井七実)
斉藤倫=作、高野文子=画
『ぼくがゆびをぱちんとならして、
きみがおとなになるまえの詩集』
福音館書店/定価1,320円(税込)購入はこちら > 大人になると忘れてしまうような純粋な感性で、詩の楽しみや面白さを教えてくれる本。
(福田望琴)
伊藤亜紗
『目の見えない人は
世界をどう見ているのか』
光文社新書/定価836円(税込)購入はこちら > 視覚障害者の祖父が見ている世界を知りたくて、この本を読んだ。複数の視覚障害者と著者の会話から、彼らの生活を想像することができた。しかし私はまだ、祖父が見る世界を知らない。きっと著者がしたように、祖父と話すことで初めて知ることができる。祖父との会話の大切さを改めて伝えるために、家族にこの本を贈りたい。
(山崎ひかり)
森下典子
『日日是好日』
新潮文庫/定価737円(税込)購入はこちら > 母がずっと茶道を続けている理由が、この本を読んでわかった気がした。お稽古は日々の自分自身を見つめ直す機会であり、お点前を通して断片から全体へと視野を広げることで、目の前の悩みから心を解き放つことができる。生きにくい時代を生きる時、自分を見失った時、茶道は「長い目で、今を生きろ」と教えてくれるのだ。
(手賀梨々子)
ルシール・クリフトン=作〈金原瑞人=訳〉、
はたこうしろう=絵
『三つのお願い』
あかね書房/定価1,320円(税込)購入はこちら > 20年前の、両親からのプレゼント。ゼノビアの最後のお願いは、いつも一緒にいる親友のビクターと仲直りすること。1セント玉のパワーがなくても、二人はきっと仲直りしていた。一番近くにいる存在のありがたさ、大切さにはなかなか気がつかない。素直に「ありがとう」を伝えるのが、まだ恥ずかしくてごめんなさい。
(手賀梨々子)
BIRDER編集部 編
『とことんエナガ、シマエナガ』
文一総合出版/定価1,760円(税込)購入はこちら > 真っ白で丸いフォルムとつぶらな瞳がキュートな雪の妖精「シマエナガ」。その可愛さに一目惚れし、シマエナガ雑貨を集めている妹への誕生日プレゼントにとこっそり購入。まさかの(!?)誕生日1週間前にバレてしまうというハプニングが起きたことはさておき……とても喜んでもらえました♪ シマエナガの魅力が詰まった一冊!
(高津咲希)
エーリヒ・ケストナー〈池田香代子=訳〉
『飛ぶ教室』
岩波少年文庫/定価869円(税込)購入はこちら > 来年の春に短大を卒業し、自分の夢を追いかけると決めた妹。険しくとも進みたい道を選んだことを尊敬していて、応援しています。辛くなった時に寄り添ってくれるような本を贈りたくて、人の優しさがみんなの小さな願いをかなえてゆく、この物語を選びました。
(齊藤ゆずか)
朝井リョウ
『桐島、部活やめるってよ』
集英社文庫/定価616円(税込)購入はこちら > 比較的クラスの中心にいる立場で毎日を楽しく過ごしているのに、ふと虚無感を抱くことが多かったあの頃の自分に渡したいです。今よりもずっと悩みや葛藤を言葉にする力も勇気もなかったからこそ、「学校=戦場」で負い、現在もうっすらと残っている心の傷に本作が寄り添って癒してくれる気がするから。
(光野康平)
森見登美彦
『太陽の塔』
新潮文庫/定価649円(税込)購入はこちら > 孤独や失恋のつらさを感じることは、誰にでもあるかもしれない。そんなセンチメンタルな悩みを、鮮やかなユーモアに満ちたこの物語が吹き飛ばしてくれる。読後はちょっと切なさが混じっても、きっと笑顔になれるはず。
(熊野有紗)
越谷オサム
『いとみち 三の糸』
新潮文庫/定価825円(税込)購入はこちら > 「おがえりなさいませ、ごスずん様」。津軽訛りの内気な少女が青森のメイド喫茶でバイトしながら成長する王道青春ストーリーの、最終巻。大学進学のために地元を離れる決意をした主人公・いとは、緊張や高熱で滑り止めの大学も不合格に。それでも諦めず自らの夢にかける健気な彼女の姿は、きっとあなたの陽だまりになる。
(古本拓輝)
J.K.ローリング=作〈松岡佑子=訳〉 、
MANALIMA=ブックデザイン・イラスト
『ハリー・ポッターと賢者の石
(ミナリマ・デザイン版)』
静山社/定価4,950円(税込)購入はこちら > この本を選んだ理由は、読めば魔法学校の生徒になれるからです。物語そのものにももちろん興奮しますが、その世界観を存分に味わうために、ミナリマ・デザイン版をオススメします。本そのものが豪華なだけでなく、美しい挿絵が豊富かつ仕掛けまであります。学生には少々高価ですが、寒い日は暖かい部屋で魔法の世界に行きませんか?
(木村壮一)
荒川洋治
『忘れられる過去』
朝日文庫/定価858円(税込)購入はこちら > 現代を代表する詩家が贈る74篇のエッセイ。現代作家から近代文学、詩歌までもが、著者の随想にからめられて紹介される。いわば読書のカタログだ。どのページからひらいてもいい。そこはあなたの知らない新しい文学へのトビラだ。深く鬱蒼とした読書の森のための心強い地図になる。
(古本拓輝)
椰月 美智子
『伶也と』
文春文庫/定価803円(税込)購入はこちら > 主人公がどのように推しにハマっていったのか、いかに人生を彩ってくれたか痛いほど共感できます。楽しいだけでなく苦しさもあるオタ活をしている人にとって、オタ活を見直すきっかけになると思います。
(田中詩乃)
池田晶子
『14歳の君へ
どう考えどう生きるか』
毎日新聞出版/定価1,257円(税込)購入はこちら > この本を通して、14歳のときの自分に出会える。また、この本を読んでいる時は14歳の自分に戻り、改めて自分の生きる姿勢について考えさせてくれるような、一生を通し読み続けられる本だと思います。
(福田望琴)
モーリス・ドリュオン〈安東次男=訳〉
『みどりのゆび』
岩波少年文庫/定価825円(税込)購入はこちら > いろんなことがひとりでできるようになって、自分が自分であることに気づくとき、周りには家族がいて、友達がいて、学校があって社会があって、そこらじゅう張り巡らされた透明なルールをぜったいに守らなきゃいけないと思うかもしれない。でもその必要はない。みどりのゆびをもつ少年・チトが君に教えてくれる。
(中川倫太郎)
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