埼玉大学工学部 応用化学科2年生 藤田笙綺さん
工学部応用化学科2年生の藤田笙綺です。ものづくりなどに化学の知識を生かす勉強をしています。
藤田笙綺さん
第一志望を決めたのは、高校2年生のときです。地学部の顧問の先生の母校で、「面白いことを学べるから、すごくいいよ!」と教えていただいて、そこを目指して頑張っていました。ですが、前期日程で不合格となりました。その後、後期日程で埼玉大学を受けて合格しました。化学系に進みたかったのですが、埼玉大学には理学部の基礎化学科と工学部の応用化学科の二つあります。実は違いがよく分からないまま、出願直前に調べて「楽しそう!」という学部を選びました。正解だったと自分では思っていますが、「下調べはしっかりしたほうがいい」と後輩にずっと言っています。
第一志望を落ちると、母からは「私立大学はどこを受けるの?」「何校受けるの?」と言われ、お金や日程の部分でもめました。父は「どこでもいいんじゃない」「お金は出すよ」と言ってくれたので、母には「とりあえずこの大学を受けるから!」と言って部屋にこもりました。母は気が気じゃなかったと思います。埼玉大学を後期日程で受けましたが、合格発表は卒業式が終わってからです。私立大学にはお金を払っていて「私立大学へ行くの?」「行くならお金がすごいけど」と言われたり、埼玉大学に合格してからも「東京の私立大学のほうが就職はいいんじゃない?」という話もされました。自分としては親の負担にはなりたくないですし、奨学金を借りて就職後に返済するのも避けたかったので、「こっちがやりたいから」と埼玉大学で説得しました。受験のときにちょうど反抗期で、迷惑を掛け続けてしまいました。ですが、国立大学に受かり、通学も自宅からなので、家計の負担は抑えられたかなと思っています。
新井さん:
前期日程・後期日程の違いを教えていただけますか。
藤田さん:
国立大学は前期日程と後期日程で受けることができ、前期日程で落ちても、後期日程でもう一度チャンスがあります。自分の場合、第一志望を前期日程で受け、後期日程で埼玉大学を受けました。
新井さん:
後期日程は別の大学しか受けられないのでしょうか。
藤田さん:
同じ大学も受けられます。ただ、前期日程で上のレベルの大学を落ちてしまった人が、少しレベルを下げて別大学を出願することが多く、同じ大学で見ると後期日程はレベルが上がります。
新井さん:
思春期は親から声を掛けられるのも嫌だと思いますが、何が一番嫌でしたか。
藤田さん:
「ここの大学を受けたほうがいいんじゃない?」という受験に関することはアドバイスとして受け止めることができたのですが、勉強に関して特に声を掛けられるタイミングが嫌でした。夏休みは9時~22時頃まで塾で勉強していたのですが、家に帰ると「勉強したの?」と母に聞かれるんです。「それをしてきたんだよ!」となりますよね。
新井さん:
受験が終わると気にならなくなりますか。
藤田さん:
そうですね。大学4年生の兄がいるのですが、母は就職のことで頭がいっぱいなので、自分にはそこまで構っていられないのだと思います。
木田さん:
役立ったのはどういうアドバイスでしたか。
藤田さん:
自分では大学のことをあまり調べていなかったのですが、母が調べてくれていました。第一志望を落ちて私立大学の出願を決めたのが期限ギリギリだったのですが、そのときに選択肢を出してくれたんです。「教員免許が取れる大学に行きたい」とは親に伝えていて、「この大学なら取れるんじゃない?」「化学系だったら、この大学へ行けるよ!」と私立大学について教えてくれました。自分は「あ、そう」とそっけなくしていましたが、ありがたかったです。
埼玉大学 教育学部 小学校コース心理・教育実践学専修 1年生 小倉明美さん
教育学部小学校コース心理・教育実践学専修1年生の小倉明美です。私は末っ子で、上に姉が二人います。一人は私立大学で、「国立大学に行ってほしい」という圧が高校1年生の頃からずっとあり、私立大学は考えていませんでした。
小倉明美さん
私は家でまったく勉強ができないタイプで、誘惑のない環境で勉強をしたかったので「塾に入りたい」とずっとお願いしていましたが、「高いから無理だ」と高校3年生の8月まで言われていました。妥協点をお互いに出し合い、何とか見つけたのが自習室だけ借りられる安い塾です。国立大学は全科目を受ける必要があり、苦手科目を作らないように勉強のスケジューリングを頑張っていました。
家でも勉強することはありましたが、親から「勉強したの?」と言われるのが嫌だったので、なるべく部屋に引きこもっていました。その中でも休憩時間にお菓子を持ってきてくれたのがすごく嬉しかったです。お菓子やジュースがあると「応援してくれているんだな!」という気持ちになるので、大事だと思います。
また、勉強のモチベーションアップとして、友達とオープンキャンパスに行っていました。高校3年生のときに「この日は勉強しないで、大学のことだけ考えるぞ!」という気持ちで行くと、気分転換になったんです。
父は単身赴任で高校3年生になってもほとんど家に帰ってこないので、私の状況を把握していませんでした。私は推薦で他大学を受験しましたが落ちてしまい、共通テストの点が良くなかったこともあり、受ける大学を変えました。父にはすべて事後報告で、「何で言ってくれなかったの?」と言われました。聞いてこなかった父にも非はありますが、お金が関わるので志望大学についてはしっかり話し合ったほうがいいと思います。奨学金を申請する場合にも親との話し合いは必要です。奨学金は高校3年生の間にすべて手続きを行います。給付型は申請しないと打ち切りになることがあるので、その話はさすがに父としました。
共有せずに私のように直前でもめると、どちらも傷つきます。出願を決めるのは国公立大学なら共通テストのあとだと思うので、そこで両親としっかり話し合うべきだと思います。
木田さん:
親をシャットアウトして勉強したということで、アドバイスしてくれる人がいない中でどのように進めていったのですか。
小倉さん:
塾は自習室だけとはいえ担当の先生がいて、勧められた参考書1冊を極めるように勉強していました。周りには国公立を目指す人がいるので、いろんな人から話を聞いていました。学校の先生は特進クラスで東京大学などに行きたい学生に注力していたので頼らなかったです。ただ、学校で配布される参考書はやったほうがいいです。
木田さん:
息子に「問題集はないの?」と聞いても、「物理は教科書ぐらいしかない」「俺は何をやったらいいんだ」と言っています。
藤田さん:
自分のときは教科書とリンクした問題集が配られましたが、参考書というほどのものでなく、問題を解く用のテキストでした。確かに参考書について、物理の先生はあまり言ってくれないかもしれません。自分は通っている塾の人などに「物理はどう勉強すればいいの?」と聞いていました。
新井さん:
息子は中学校の数学か理科の教員になりたいようなのですが、教育学部は文系になるのでしょうか。
小倉さん:
私が通うコースは文系ですが、埼玉大学には小学校コースで国語・算数・理科・社会があり、中学校コースで国語・数学・理科・社会があります。そのコースにより文系・理系が決まり、受験概要も異なります。
笠松さん:
うちの息子も小学校の教員志望です。国公立を希望していますが、得意なのは数学や物理です。高校の担任からは「理学部に進んで、中学・高校の理系の教員免許を取れば教員にもなれるし、理系も生かせるよ」という話をされて、教育学部か理学部かで揺らいでいます。私もホームページを見たのですが細かいところが分からなくて。オープンキャンパスに行ったり、直接先生にお聞きしないと詳しくは分からないのでしょうか。
小倉さん:
中学校コースの理科分野では物理・化学・地学・生物などがあり、小学校コースも理系があります。小学校コースと聞くと「全科目をやらないといけないので文系」だと思われがちです。私のコースも教育の概念的なことを学ぶので文系ですが、コースで理科や算数に絞れば、理系でも大丈夫だと思います。
木田さん:
うちの子が志望している学部だけ教員免許の資格がありませんでした。4年間を過ごす中で「教員になりたい」という気持ちが芽生えたら大学院に進むしかないのでしょうか。
藤原理事長:
学部の案内などには、その学部を出て取れる資格が記されています。教員志望であれば、免許が取れるのかオープンキャンパスなどで聞いてみるのがいいと思います。
埼玉大学 教養学部 教養学科1年生 大前萌々花さん
教養学部教養学科1年生の大前萌々花です。私は埼玉大学の教養学部しか考えていなくて、学校推薦型選抜で入学しました。
大前萌々花さん
父とは進路について日頃からよく話をしていました。高校生のときに考えていた将来就きたい職は英語が話せれば大丈夫なので、父は「高校で英語がマスターできれば大学には行かず、そのまま就職でもいいんじゃない?」と言ってくれていました。母は逆に「大学に行ったほうがいい」という考えで、「どの大学を受けるの?」と少しだけもめました。うちは群馬県で両親ともに「県内の大学にしてね」という希望があったのですが、私はどうしても埼玉大学の教養学部に行きたかったので、寮があることをプッシュして、「寮に入れば家賃を抑えられるし、頼むから埼玉大学の教養学部に行かせてほしい!」と説得しました。
高校の担任からは、母が希望する地元の公立大学を「そこの推薦だったら行けるんじゃない?」と勧められました。ただ、その大学で「自分のやりたいこと」ができるイメージが湧かなかったので、学力的には厳しいと分かりつつ、推薦だったら可能性があると思い埼玉大学を出願しました。
実際には私立大学と併願しました。私立大学は、上位で合格できれば学費が減額されるスカラシップ入試です。「埼玉大学に行けなかったら、そこしかない」という状況でした。
推薦入試の場合、小論文や面接などの対策を行います。生徒会で仲の良かった先生を頼りました。夏休みに質問に行ったり、放課後に質問に行ったり、相談にすべて乗ってくれました。親も愚痴を毎日聞いてくれて、本当にありがたかったです。また、自分が大学受験に向けて勉強に集中する中で、親が事務的な部分を調べたり、アドバイスをくれたのが嬉しかったです。
明野さん:
学校推薦型と指定校推薦とは違うのでしょうか。
大前さん:
指定校推薦は多くが私立大学で枠がある高校の人しか出願できませんが、国公立大学の学校推薦型選抜は基準を満たしていれば出願できます。私が受けた教養学部は、小論文と面接と志願理由書で合否が決まる入試でした。
笠松さん:
最初に受けた推薦では、どれくらいの期間準備をしましたか。
大前さん:
志願理由書などを書き始めたのは高校3年生の夏休みです。小論文と面接対策をしっかり始めたのは10月頃で、直前1カ月間でやりました。
木田さん:
うちは高校で面談をしたときに、「公立で学校推薦型選別は無理です」「この大学であれば受験ですね」と言われました。推薦で「ここなら行けるだろう」というのはどんなところがポイントなのでしょうか。
大前さん:
教養学部の場合、評定平均が4.3以上でないと出願できません。私は評定が4.3と基準ギリギリだったので反対されました。周りが4.3以上ある中で一番下から始まるので、「小論文と面接で逆転するのは可能性が低いからやめておいたほうがいい」ということでした。「推薦にかける時間で前期日程の勉強をしたほうがいいんじゃない?」とも言われました。
小倉さん:
実際に推薦入試の1カ月前は、小論文と面接対策で手いっぱいになってしまいます。その間ライバルたちは前期日程の勉強を頑張っているので、その中で推薦の対策をするメンタル的な負担と、「1カ月分の勉強を巻き返せるのか」「推薦を落ちたあとに立ち直れるのか」という不安が大きかったです。私は一度推薦で落ちましたが、12月頭に発表され「ここまで頑張ってきたのに」とメンタル的にきつかったです。
笠松さん:
うちの上の子も学校推薦で落ちています。そのあとに共通テストが控えていたので、推薦対策と並行して勉強をしていましたが、きつそうでした。
木田さん:
「推薦で行ける!」と言われていた、群馬の大学の決め手はどんなところだったのでしょうか。
大前さん:
そこは英語系の大学で、英検の資格が決め手だと思います。どれだけ加点されるかは分かりませんが、高校の担任からは「英検準1級を取得していればその大学は大丈夫だろう」と言われていました。ただ、その時点では英検は持っておらず、そのあとで英検準1級を受けました。受験時点では取れていなかったのですが、評定や学力面から「行けるんじゃないか」と言われたのだと思います。「もし推薦でだめでも、前期日程で入れる学力はあるのではないか」というのが先生の見込みでした。
木田さん:
英検以外で何か有利に働く材料はありますか。
大前さん:
生徒会を2年間やっていたこともプラスになると言われました。
木田さん:
オープンキャンパスには行けなかったのですが、公開授業などに参加した場合に推薦で有利になることはありますか。
藤原理事長:
それは関係ないと思います。来られない人がいるので不公平になりますからね。
大前さん:
「この資格を持っている」「生徒会をやっていた」など、それ自体が加算されるというより、それを“うまく伝えられるか”が面接では大事だと思います。“ものは言いよう”という感じで、誰しも経験するようなことでも言い方によって“自分が魅力的に見える伝え方”を考えて話すと、「オープンキャンパスに行っていない」などのマイナス部分も言い換えができると思います。
笠松さん:
素晴らしい考え方ですね。
藤原理事長:
質問に対して何らかの形でしっかりレスポンスをすると、「質問も分かっているし、きちんと伝えることができていますね」と面接官は受け取ると思います。就職活動でも一緒ですが、会話のキャッチボールができることはポイントとして大きいです。
2024年9月15日埼玉大学にて