誰かを思って選んだ本を送ることも、ある意味「手紙」に似ているかもしれません。今回は、日本郵政が手掛けるさまざまなコンセプトでセレクトされた本と豊富なラッピングツールや発送資材が揃う「SOZO BOX」(東京・秋葉原)で、ふたりのいずみ委員が体験をしてきました。
高津咲希
贈る相手を「想像」し、想いを込めてプレゼントを「創造」する。そんな素敵なコンセプトのお店「SOZO BOX」を訪れ、本を贈る体験をした。お店のガラス戸から本棚が少し見え、ワクワクしながら店内に入ると真っ先に赤い大きなポスト「SOZO POST」が目を惹いた。
まずは贈る相手を思い浮かべて、本を選ぶ。選書コーナーには、贈りものにぴったりな本がたくさん並べられている。帯に書かれた選書エピソードと込められた思いが胸に刺さり、贈る本を選んでいるはずが、つい自分も読みたくなってしまうものばかり。一緒に旅行に行きたいね、という想いを込めて旅の本はどうだろう。それとも、「絶対不可能」に挑戦したという実話に基づいた物語は、目標に向かって頑張るあなたに勇気を与えてくれるだろうか。はたまた、肩の力を抜いてほっとひと息つきたくなる本がいいかしら……。じっくり悩んで選んだのは、絵本『たいせつなこと』。「あなたにとってたいせつなのは、あなたがあなたであること」、そんな思いが込められた一冊だ。奥深い言葉と美しい絵。大人になってからもふとした瞬間に、読み返したくなる本だと感じた。
そして、様々なクラフトグッズが揃うラッピングBARで、選んだ本を包んでいく。贈る相手の好きな色や雰囲気をイメージして、紺色のブックカバーと可愛らしい菜の花柄の包装紙を選んだ。ブックカバーに色鉛筆でイラストも添えてみる。そして、シーリングスタンプに挑戦。カラフルな蝋を熱で溶かし、型を押し込んで冷ますと、可愛らしいSOZO BOXオリジナルスタンプが完成し、ラッピングが一気に華やかに。喜んでもらえるかしら。
店内の壁一面に広がる日本地図を描いた足跡ウォールには、今までSOZO POSTに投函された贈りものの贈り先にしるしが残されている。私も、このたくさんの人の想いが詰まった足跡ウォールにしるしを残し、いよいよSOZO POSTに投函。あとは届くのを待つだけ。
私が本を贈った相手は妹だ。一緒に暮らしている妹とはいつでも会話が出来る。でも、だからこそ、時々本に想いをのせて伝えることも良いなと感じた。本だから伝えられる想いもあるかもしれない。後日郵便が届くと、妹は驚きながらも丁寧にラッピングを開け「私の好きなシマエナガのイラストだ!」と手作りのブックカバーを見て、とても喜んでくれた。そして真剣な表情で絵本を捲る姿を見て、私もほっとした気持ちと嬉しさで頬が緩んだ。本を贈るっていいな。
本:『たいせつなこと』(マーガレット・ワイズ・ブラウン〈レナード・ワイズガード=絵、うちだ ややこ=訳〉/フレーベル館)
力武麗子
今日はSOZO BOXという場所に行ってきた。突然お誘いいただいたときは驚いたが、リーフレットを見てすぐ心躍った。実は少し前からこのような素敵な施設があることは知っていて、というのもインスタグラムの広告で目にしたことがあったのだ。想像・創造・送贈をかけた名前もいいなと思った。こういうことを思いつく大人になりたい。
お店の中に入ると、すごく好きな場所だなと思った。本、メモ帳、包装紙、、、自分が可愛いな好ましいなと感じるものばかり並べられていて居心地が良かった。あと、店内BGMで「cheek to cheek」が流れていて、その曲はこの夏のお気に入りソングだったのでひとりで嬉しくなったりもした。
自然とうきうきした気分になりつつ本を選び始める。実は誰に本を贈るか、候補は考えてきていたものの決めてはいなかった。でも、店内に入ってすぐ、レターセットや雑貨の雰囲気を見て「あの子が好きそう!」と思い浮かんだ友人に決めた。きっとここに並んでいる本とも相性が良いだろうという直感だった。
いざ本を選ぼうと意気込んで書棚を眺め始めると、うっかり紹介文を読み込んでしまいなかなか決めることができなかった。並べられている本一冊一冊に贈り贈られたエピソードが綴られた帯が巻かれており、本の外側でもドラマが起こっているのだと胸が熱くなった。
結局詩集と文庫の二冊に決めた。詩集は真っ白な紙で雪を表現する作品。言葉と紙で風景をつくり上げるのがとても綺麗で、友人にも見てほしくて選んだ。文庫は大自然を旅した人のエッセイだ。改めて贈った本を振り返ると、友人と一緒に自然を感じて癒されよう、という気分だったのかもしれない。ブックカバーは輝く鉱石の柄に。何度も机とラッピングバーの間を往復しながらリボンやスタンプを選ぶ。誰かを想ってあれこれ悩むのはとても楽しいなとしみじみした。
できあがった小包を投函して任務達成。手紙を投函することはあっても贈りものを投函したことはなかったのでなんだか新鮮だった。その後は本棚のコーナーで自分用のお土産本を探索。ぐるぐる迷って一冊の文庫をレジに持って行った。心の積読が増えた一日でもあった。
届いただろうかとそわそわしていたある日、机の上に白い封筒が置いてあった。差出人は本を贈った友人で、シーリングスタンプで封をしてあった。中にはポストカードとともにメッセージが添えられていた。郵便で送った返事がポストにやってくる、ささやかな、しかし十分に満ち足りた幸せを味わうことができた。
本を選ぶ
ラッピングバーを堪能
包装紙選定中
作業スペース 奥の壁には「足跡ウォール」
本にカバーをかけたり、装飾したり
BOXに収納
BOXを包装
リボンをかけて
ラッピング完成
シーリングスタンプ初挑戦
宛名とシール切手を貼ったら、あとは投函♪
東京都千代田区神田練塀町15-1 SEEKBASE 3号棟
アクセス:
店舗の資材 体験料 500円
〔包装紙、リボン、シール、シーリングワックス等〕
下記3つの内いずれか1つ
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