Essay スーパー戦隊と色の関係性

特集「Blue」記事一覧

Essayスーパー戦隊と色の関係性
 
関 連 本

東映株式会社、株式会社バンダイ、
有限会社アーミック
『スーパー戦隊 大図鑑デラックス』
ポプラ社
本体2,200円+税

 皆さん、今回の号のテーマが「Blue」なのにどうしてスーパー戦隊の記事があるんだとお思いでしょう。そこで一度スーパー戦隊の構成員を想像してみて下さい。そこには青色のメンバーがいるでしょう。そうなんです、実はスーパー戦隊には全作品必ず青色のメンバーがいるのです(水色を含む)。ということでこれからスーパー戦隊における色の役割、とりわけ青についてみていきましょう。ただし、私はあくまでスーパー戦隊の一ファンに過ぎないので、これまで番組を見てきた中での私の考えに過ぎないことをあらかじめ断っておきます。
 余談ですが、この記事を書くにあたり『スーパー戦隊大図鑑デラックス』(ポプラ社)という本を購入して読んでみました。初めてスーパー戦隊の図鑑を買ったのですが、読んでみると面白く、武器やロボット、放送された全話が紹介されており、非常にボリュームがあるので、興味のある方は是非読んでみてください。
 まずはじめにスーパー戦隊が何なのかについて軽く触れておきましょう。スーパー戦隊とは、東映が製作する1年クールの特撮ドラマのことで、「秘密戦隊ゴレンジャー」に始まり、現在放映中の「魔進戦隊キラメイジャー」で44作品目となるので、長寿番組であるといえます。シリーズによって様々ですが、通常3人ないし5人の戦士が悪の組織に立ち向かうストーリーとなっています。回を追うごとに成長していくヒーローの姿や怒涛の展開は、フィクションでありながらその世界に引き込まれていく点において、読書に通ずるものがあります。
 次にメンバーの色についてですが、実は赤と青が全てのシリーズに登場しているのみで、他の色はシリーズによっては出ないこともあります。ここからはさらに皆勤賞である「青」についてフォーカスしていきます。まずは人物の性格の傾向についてお話します。みなさんは青色と聞いて想像する性格のイメージは何ですか。爽やか、冷静沈着……といったところでしょうか。一概には言えませんが傾向としては、多くの青、すなわち○○ブルーの性格にこれが当てはまります。そのようなイメージから頭脳明晰である一面があったり、サブリーダーの役割を担ったりもします。
 次にモチーフについてお話します。スーパー戦隊には様々なモチーフが存在します。一例を挙げますと、恐竜や動物などの生物や、乗り物、忍者などがあります。これらのモチーフに対して、色ごとにふさわしいものが当てはめられています。これについて青を例にして紹介しましょう。まず青と聞いて連想するものは何でしょう。例えば、海や川などの「水」がありますね。それらに近いものが○○ブルーのモチーフになります。例えば水でいえば、動物の力を使う「百獣戦隊ガオレンジャー」のガオブルーは鮫がモチーフです。他にも文字の力を使って戦う侍である「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンブルーは水の力を用いて戦います。
 このようにスーパー戦隊ではそれぞれの色にあったイメージを落とし込まれていると考えられます。なぜなら、子供向け番組故に分かりやすさが求められているからです。仮に○○レッドが火の力ではなく、水の力を使うとするとどうでしょう。なんだかしっくりこない気がしませんか。これが分かりやすさと考えています。では何がこの分かりやすさをもたらすのでしょうか。それは、要素(英語でいうとelement)であると考えます。これはスーパー戦隊に限らずアニメや漫画にも当てはまることであるといえますが、戦うキャラクターが似たような力を用いると、キャラクター同士の差別化ができず、個性が表現できません。そこで火や水、土、風などの要素(element)を導入する手法をとると、各キャラクターの個性が出てきます。スーパー戦隊においてはこの「要素」と「色」を組み合わせることで分かりやすさが生まれると考えるのです。
 これまでスーパー戦隊と色について考えてきましたが、これらのことから私は色がただ青や赤といった色を意味し、示すものではなく、多様なものを想起させる概念だと考えています。つまり、青といえば海や空をイメージさせるように、「意味の可能性」を秘めているのです。そうするとその色から何を喚起するかは人それぞれ過去の経験や見てきたものが異なるため、その色に含有される意味もまた異なることになります。そのため、テレビ番組や町にある看板や絵画を見るとき、なぜここはこの色が使われているのだろうかなど、「色」に注目して、そこに込められた意味について考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

 
P r o f i l e
河本 捷太(かわもと・はやた)
愛媛大学4回生。
2002年、当時3歳の頃からスーパー戦隊を観始めました。大学生となった今も観ていますが、それだけスーパー戦隊ひいては特撮は幅広い世代が観ることのできるコンテンツということです。是非日曜日の朝に早起きしてみては。

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