大学生におすすめ! 新書でよむ「歴史」

 歴史をテーマにしたおすすめの新書を集めました。出版社の皆様の熱いコメント付きでご紹介します。
「歴史は敷居が高い」と思っている貴方は、まずは、おすすめのコメントを読んで「ちょっと面白そうだな」と思った本から読んでみてください。歴史好きな貴方には、どこからでも楽しんでいただけること間違いなしです!

歴史を知る


片山杜秀
『歴史という教養』
河出新書/定価880円(税込)購入はこちら >「歴史」が足りないと、言葉は安っぽくなり、行動は独りよがりになり、前例を知らないので何でも新しいと錯覚し、思考が厚みを持たないので場当たり的になり、忍耐も我慢も欠いて、とんでもなく間違えます……歴史に学べと言いますが、先行きの見えない時代、それはどういうことか。博覧強記の思想史家が教えてくれます。

本郷和人
『考える日本史』
河出新書/定価924円(税込)購入はこちら > 歴史教科書は必ず通史になっていますね。古い時代から順々に時系列で、平板で均質な文章で記述されますから、退屈に感じるのも無理はない。しかし本書は、東京大学史料編纂所教授の著者が、「信」「血」「恨」……といった漢字一文字から発想して語り起こす新感覚の日本史講義です。落語のように楽しめること請け合い。

安藤優一郎
『越前福井藩主 松平春嶽
--明治維新を目指した徳川一門』

平凡社新書/定価946円(税込)購入はこちら >幕末の中心人物として誰よりも早く大政奉還を唱え、公武一和を目指した松平春嶽。徳川一門の中で異質な立場にある福井藩の第16代藩主として藩内改革を推し進めたのち、幕政にも関わっていく生涯を追いながら、幕末の動向を新たな視点で再構築する。討幕に与することができなかった親藩大名の選んだ道とは何だったのか。

呉座勇一
『陰謀の日本中世史』
角川新書/定価968円(税込)購入はこちら > 「事実」はフィクション(ドラマや小説)よりも面白い。本能寺の変に黒幕あり?いない。光秀をバカにしすぎ。関ヶ原は家康の陰謀?違う、家康も追い詰められていた等々、陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破。トンデモ説やフェイクニュースが溢れる世の中で騙されないために、陰謀論の法則まで明らかにした、必読の歴史入門書!

トピックから見る歴史


尾脇秀和
『氏名の誕生』
ちくま新書/定価1,034円(税込)購入はこちら >私たちが使う「氏名」の形は約150年前、明治新政府によって創出されたものだ。江戸時代、人名には身分を表示する役割があったが、王政復古を機に予期せぬ形で大混乱の末に破綻。さらに新政府による場当たり的対応の果てに「氏名」が生まれ、それは国民管理のための道具へと変貌していく。

池上英洋
『西洋美術史入門』
ちくまプリマー新書/定価1,045円(税込)購入はこちら > 名画にこめられた豊かなメッセージを読み解き、絵画鑑賞をもっと楽しもう。ヨーロッパの中高生も学ぶ、確かなメソッドをベースにした新しい西洋美術史をこの1冊で網羅的に紹介する。

伊藤俊一
『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』
中公新書/定価990円(税込)購入はこちら >奈良時代の墾田永年私財法に始まる荘園は、なぜ750年も存続し、どのようにして終焉を迎えたのか——。農業生産性向上、物流の合理化と貨幣流通の促進、特産品の多様化など、荘園がこの国にもたらした豊かさを解説。「私利私欲で土地を囲い込み、国の秩序を乱した」といった荘園のイメージが激変する画期的通史です。

越智敏之
『魚で始まる世界史
——ニシンとタラとヨーロッパ』

平凡社新書/定価880円(税込)購入はこちら > 肉食のイメージが強いヨーロッパは、18世紀の農業革命以前は魚食が中心だった。本書では、キリスト教世界に魚食が取り込まれる過程、膨大な需要を満たすための漁業や運送をふくめた巨大な経済システム、ニシン・タラをめぐる国家間の対立や大航海時代以降のアメリカ大陸の発展などを、文学作品や歴史資料から辿る。

川戸貴史
『戦国大名の経済学』
講談社現代新書/定価1,100円(税込)購入はこちら >兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万〜60万円、兵糧米代1000万円、捕虜の身代金20万〜70万円! 刀、甲冑、そして新兵器、鉄炮から馬にいたる武器・装備品に始まって、後方兵站への非戦闘力の動員にいたるまで、先立つものはまず「お金」。あらゆる手段を講じて「富国強兵」に励んだ戦国大名たちの、戦場の外の戦い。

清水克行
『戦国大名と分国法』
岩波新書/定価902円(税込)購入はこちら > 古い決まりや不合理な習慣を止めて、新たな秩序を国内にもたらす。そんな意欲で編まれた法から、乱世を見てみよう。敵をねじ伏せ天下をめざす、そんな戦国大名のイメージは、本書ですっかり変わるだろう。しかし、登場する大名のほとんどは、「法」が広まる泰平の世を前に滅亡したという。彼らの苦闘は面白く、少し切ない。

金澤周作
『チャリティの帝国
——もうひとつのイギリス近現代史』

岩波新書/定価946円(税込)購入はこちら >『ボヘミアン・ラプソディ』を観た方は、そのクライマックスがライブエイドというチャリティコンサートだったことを思い出してください。人に手助けをする、という文化がイギリスの歴史にどんな役割を果たしてきたのかを、陰の面も含め描いています。大事件や英雄を扱うのとは違う、歴史学の奥行きを感じさせてくれる一冊。

世界の歴史


出口治明
『人類5000年史 Ⅰ』
ちくま新書/定価902円(税込)購入はこちら >文明の誕生から現代まで、5000年の人類の歩みをまとめる著者のライフワークの第一巻。文字の誕生と最初の文明から、チャリオットによる軍事革命と紀元前1200年のカタストロフ、世界帝国の時代、知の爆発の時代まで、紀元前およそ3000年の歴史をダイナミックに展開する。

弓削達
『ローマはなぜ滅んだか』
講談社現代新書/定価990円(税込)購入はこちら > 全世界から巨富を集め、繁栄の限りをつくしたローマ帝国。食卓をにぎわす珍鳥・珍魚、文学に、スポーツに進出する「自由な女」、文化となった愛欲——。「永遠」をうたわれた巨大文明の興亡の中に現代の超大国・日本の姿を透し見る。編集部にもファンの多い不朽の名著。

貴堂嘉之
『移民国家アメリカの歴史』
岩波新書/定価924円(税込)購入はこちら >アメリカ合衆国は「移民の国」——誰もが口にするこの国のかたちは、いかに形成され、どう変貌してきたのか。移民を近代世界のグローバルな人流のなかに位置づけ、大西洋を渡って自由の女神像を臨んだ移民だけではなく、太平洋を渡ったアジア系移民の歴史経験にも着目してアメリカ史を現代まで射程に入れて捉えなおす一冊。

安達正勝
『物語 フランス革命
バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』

中公新書/定価1,012円(税込)購入はこちら > 1789年に勃発した大革命の影響は世界中に波及し、古い時代の体制から現在のような近代社会へと切り替わる契機となりました。そうした世界史的意義にとどまらず、フランス革命は人間ドラマの宝庫で、物語的な魅力が満載。本書を読み始めたが最後、小説を超えた面白さにページをめくる手が止まらなくなること請け合いです。

近現代史


加藤徹
『西太后
大清帝国最後の光芒』

中公新書/定価880円(税込)購入はこちら >中国史上でもまれなほど悪名高き女性権力者も、博覧強記の名文家が描けば人間味あふれる魅力的な人物へと変貌します。彼女が生きた清朝末期という時代がぐっと身近に感じられ、現代中国の政治や社会とダイレクトにつながっていることを実感するはず。歴史を知る醍醐味が詰まった一冊です。

石田勇治
『ヒトラーとナチ・ドイツ』
講談社現代新書/定価1,100円(税込)購入はこちら > ヒトラーは、どのようにして大衆の支持を得て独裁者となったのか。安楽死殺害やホロコーストはいかにして行われたのか。その歴史を知るための入門書かつ、決定版の書。ナチ体制は、単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの国民を受益者・担い手とする「合意独裁」をめざした。最新研究をふまえ、未曾有の悪夢の時代を描く。

大木毅
『「砂漠の狐」ロンメル
——ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』

角川新書/定価990円(税込)購入はこちら >ドイツ国防軍で最も有名な将軍で、第二次世界大戦では連合国からナポレオン以来の名将とまで言われた男、ロンメル。最後はヒトラー暗殺の陰謀に加担したとされ、非業の死を遂げるが、北アフリカ戦線の活躍による「砂漠の狐」の名称は広く知られている。しかし、日本では俗説が溢れている。最新学説を盛り込んだ一級の評伝!

広中一成
『後期日中戦争
——太平洋戦争下の中国戦線』

角川新書/定価1,012円(税込)購入はこちら > 真珠湾攻撃の裏で起きていた、敗北。1937年の盧溝橋事件、南京事件や38年の重慶爆撃までは有名だ。しかし41年12月の太平洋戦争開戦後、中国戦線で日本軍がどのような作戦を展開していたのかは、対米戦の陰に隠れ、意外な程に知られていない。日本人は、日中戦争を未だ知らないのだ。気鋭の中国史研究者が空白の戦史を埋める!

橋本健二
『〈格差〉と〈階級〉の戦後史』
河出新書/定価1,210円(税込)購入はこちら >いまの日本を象徴するキーワードの一つは「分断」でしょう。それはしばしば経済的な「格差」を伴います。この社会はどのようにして現在のようなかたちになったのでしょう? 敗戦、ヤミ市、復興、高度成長、「一億総中流」、バブル景気、アンダークラスの出現……精緻なデータ分析をもとに、戦後日本の歩みを振り返ります。

竹内修司
『1989年
——現代史最大の転換点を検証する』

平凡社新書/定価836円(税込)購入はこちら > 天安門事件、ベルリンの壁の崩壊、冷戦の終結……。昭和天皇の崩御により昭和から平成へと転換した1989年は、世界においても歴史的大事件が頻発した年であり、現代史を振り返るうえで最も重要な年といえる。ソ連のペレストロイカに始まる社会主義国家の変容を軸に、豊富な歴史資料の引用とともにその歴史的意義を探る。
 

選書・コメントにご協力いただいた皆さん (出版社五十音順)

岩波書店 新書編集部 

  島村典行さん、杉田守康さん、飯田 建さん 

KADOKAWA 角川新書編集長 岸山征寛さん
河出書房新社 編集部長 藤﨑寛之さん
講談社 販売局 齋藤一樹さん
筑摩書房 営業部 三澤宏幸さん
中央公論新社 中公新書編集部 並木光晴さん
平凡社 編集部 進藤倫太郎さん

 

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