全国食堂セミナー 講演「生きる力をつなぐ 〜生協食堂の未来〜」

全国食堂セミナー「生きる力をつなぐ」

今までの生協食堂とは・・・

みなさんおはようございます。  
中四国事業連合の朝日でございます。連合会の坂井さんから、大学生協の食堂事業の歴史を継承出来る人間が少なくなったので、退任する前に話してもらいたいとのご依頼により、報告の機会をいただきました。
「生きる力をつなぐ生協食堂の未来」というタイトルで、おつきあい頂ければと思います。

プロフィールに沿って、時々の事業テーマをからめてお話したいと思います。
私は、1981年に創立(1977年)まもない愛媛大学生協に入協しました。食堂に配属され2年後には店長となりました。当時は若手しかいなくて、若いうちに店長になったり部長になったり専務になったりするそういう時代でした。この頃は食堂事業の近代化がテーマで、生協食堂事業は大変遅れていました。中四国でも、事業連合はないし、各大学生協で各食堂が食材を仕入れ、メニューをプランニングし、調理し、提供していました。この頃に、東京を中心にカフェテリア業態が確立されていきます。東京事業連合で先進的にカフェテリアの業態を展開された西村一郎さんが連合会の食堂責任者になり、全国に政策を広めて行かれました。

西村さんがよく言っていた「右手に包丁、左手に電卓」という言葉があります。今聞いたら、時代を感じますけれども、要するに、食堂の店長は調理だけ、していてはダメで、数字にも強くなりなさいということを言いたかったのですね。食堂店長はマネージャーであり、マネジメントすることが仕事なのだという話を全国に広めて行かなければならない、そういう時代でした。その後、1991年に中四国事業連合が創立されました。創立まもなく、ノウハウも仕組みもないという状況でしたので、当時、先進的に改革をすすめられていた京都事業連合さんと提携を結ぶことになり、私たちも京都事業連合に移籍をして、京都の職員の皆さんとともに仕事をさせていただきました。その2年後、1994年に岡山大学生協が設立されると同時に岡山大学生協に移籍し、6年間、仕事をさせてもらいました。京都事業連合と提携した時のテーマのひとつは商品政策の一元化でした。事業連合で商品活動を集中して行い、それと共に、会員生協では作業の改革を進める、いわゆる「業務改革」を推進するために、供給・会計システムを導入し、確立した時代でした。2002年には、連合会で「フードサービス事業再構築プロジェクト答申」をまとめる作業に、中四国の立場から1年間ほど参加させていただきました。ここでテーマとなったのは、国立大学法人化の2004年に向けてどのように政策を作り上げていくかということでした。具体的にはフードサービス事業が低迷している、このまま法人化を迎えたら大変なことになるということで、生協食堂でなければならない存在価値ってなんだろうということを議論して、最終的には各地各会員生協で考えましょうという問題提起をして終わりました。中四国でも、2002〜2003年あたりに、この再構築プロジェクト答申に基づき、いろいろな政策を検討していきました。さらに、2011年に、「食に関する事業の長期政策」の検討に参加させていただきました。2025年までの長期計画です。今すぐにできないことがいっぱいある。だから、長期計画で徐々にその方向に向かって進んでいこうじゃないかということでまとまりました。そして、2013年にアメリカの大学視察を実施して更にその方向性を自分たちなりに確立していったというのが本日に至る経過です。事業連合発足当時、先行していた東京、東海、京都の各事業連合さんからいろいろ学んでいろんなノウハウを教えていただいたお陰で、今日の私達があると思っています。中四国でなにかノウハウを作って、先行しているみなさんにお伝えしたことはあまりなかったと思うのですけれども、このような「学びあい」「励ましあい」は今でも重要な連帯のテーマだと思います。

中国、四国の地図は、みなさんご存知でしょうか。中国地方に5県、四国地方に4県、あります。関西の方から見ても、中四国の各県の位置関係はよく分からないみたいです。地理的には中国地方と四国地方というふうに分けられますけれども、気候的な特徴からいうと、北は、鳥取、島根までが山陰地方、瀬戸内海を囲んだ地域が瀬戸内海地方で、兵庫とか大分とも隣接しています。高知が南四国地方に分けられ、3つの海、2つの山地に挟まれております。岡山-香川間の瀬戸大橋、広島-愛媛間のしまなみ海道に橋がかかっていますが、物流は主に瀬戸大橋経由で行っています。岡山の早島に、ベンダーさんの物流センターを構えてもらい、食材は毎日このセンターから全ての店舗に配送されます。関西からラインが伸びていますが、中四国事業連合のフードサービス事業グループはじめ事業関連部署は大阪事務所内にあります。そこで商品開発などの日常業務や店長会議などを実施しています。

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続いて、中四国の大学生協食堂の紹介です。今月の26日から、岡山の就実大学に就実生協が誕生し事業を開始します。中四国では、18番目の生協です。

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組合員数は学生10万人、教職員2万5000人、組合員一人あたりの年間食堂利用高は3万7000円です。供給高42億5000万が2015年の実績です。そのうち供給形態別では、ミールカードが21億円、供給構成比48%、ICプリペイドカード8億円、18%。現金10億円、34%。ポイントカード値引き、ミールカード値引きで約3%の値引きとなっています。ミールカードホルダーは2万7000人。電子マネー決済率は65%です。席数は16000席ありまして、「文部省(当時)」で言うところの、「6割の学生が昼食時3回転で食事が出来る席数を整備することが望ましい」、結局、6割、3回転ということは学生数の2割分の席数となりますが、この文部省基準から言うと77%の充足率です。

この10年の事業活動の特質は、生協食堂の存在価値を高めることによって利用シェアを拡大してきたことです。事業で生まれた利益は結果であって、事業継続の条件もしくは未来に投資する経費と考えています。ともかくシェアを毎年拡大していこうということで、進めております。