『読書のいずみ』クリニック こころの「書」方箋

特集「本が好き! 〜みんなで読書マラソン〜」記事一覧


こんにちは、『読書のいずみ』クリニック院長です。当クリニックでは皆さまの悩みに本の力からアプローチしております。独断とお節介と愛情に基づいてお薬を差し上げております。熱中・号泣などの副作用にはくれぐれもお気をつけください。
 
相談者   アンドレアさん 21歳/女性
相談内容  何かにつけてだらだらしてしまうのですが、何か効くものないですか。
〈処方〉
 それではビタミンのたくさん入ったものをいくつか。元気が出るのは『ランチのアッコちゃん』(柚木麻子/双葉文庫)。スーパーウーマンみたいな先輩が時に優しく、時に厳しく背中を押してくれます。頑張るためにはちゃんと食べないと、と自分の体にも優しくなれるのではないでしょうか。『日日是好日』(森下典子/新潮文庫)は生きることの喜びが染みわたる一冊。茶道を通じて輝き出す毎日がみずみずしく描かれています。何かに一途に取り組めば、甘露のような瞬間がきっと待っている。そう信じさせてくれる本です。
柚木麻子
『ランチのアッコちゃん』
双葉文庫
本体537円+税
森下典子
『日日是好日』
新潮文庫
本体550円+税
 
相談者   ペンギン帝国さん 18歳/男性
相談内容  大学では境遇の違う人がこんなにもいること、話が噛み合わないことの多さに驚いています。そう感じている今の状態から一歩踏み出したいです。
〈処方〉
 人生の悲喜こもごもがつまったものが効くかもしれませんね。『停電の夜に』(ジュンパ・ラヒリ〈小川高義=訳〉/新潮文庫)は、インド系アメリカ人の作者による短編集で、色々な辺境に置かれた人々の悲哀が描かれているのですが、人間のすれ違いや誤解が絶妙に散りばめられています。世の中の多様性と歪みの多さを感じることで、かえって勇気付けられるかもしれません。もっと強めのものでもよければ、『骨を彩る』(彩瀬まる/幻冬舎文庫)を。違う道を歩きつつも関わりあう登場人物たちが、強烈に自分の欠けた部分を意識させられたときにどう耐えていくのか。ラストでふっと肩の荷がおりるはずです。
ジュンパ・ラヒリ
〈小川高義=訳〉
『停電の夜に』
新潮文庫
本体590円+税
彩瀬まる
『骨を彩る』
幻冬舎文庫
本体540円+税
 
相談者   水星人さん 19歳/女性
相談内容  ときどき、世の中どうなるんだろうって不安になります。この先私たちはどうなるんだろう……。
〈処方〉
『大きな鳥にさらわれないよう』(川上弘美/講談社)では人間社会がどう変わっていくかという問いに対する、ひとつの予想図が示されています。人間も地球の大きな時間軸の中では儚く、弱い存在。現代社会での不安はたくさんあると思いますが、視点を変えれば感じ方も変わります。『うしろめたさの人類学』(松村圭一郎/ミシマ社)では、外の社会をみることで日本社会を捉えなおすという営みが体験できます。社会は「作られている」、だから私たちも作り手になりうるのです。積極的に自分の問題意識と向き合うきっかけになるかもしれません。
川上弘美
『大きな鳥に
さらわれないよう』

講談社
本体1,500円+税
松村圭一郎
『うしろめたさの人類学』
ミシマ社
本体1,700円+税
 
相談者   だんさん 19歳/男性
相談内容  大学生なのに「青春」してないです。青春したい。
〈処方〉
 恋愛という意味でしたら、『初恋』(トゥルゲーネフ〈沼野恭子=訳〉/光文社古典新訳文庫)はどうでしょうか。150年も前のロシアが舞台ですが、今を生きる我々にもグッときます。甘酸っぱいだけではない、ほろ苦い青さは時を超えて万国共通なのかも。目標に向かって一途に励むことだったり、厚い友情を噛みしめたければ、『風が強く吹いている』(三浦しをん/新潮文庫)をどうぞ。同じ下宿に住む大学生たちが箱根駅伝を目指します。彼らの青春の1ページを肌で感じられます。読み終えるころには圧倒的な満足感。世間一般の青春の役割期待なんて忘れて、自分も好きなことを精一杯したくなると思いますよ。
トゥルゲーネフ
〈沼野恭子=訳〉
『初恋』
光文社古典新訳文庫
本体520円+税
三浦しをん
『風が強く吹いている』
新潮文庫
本体890円+税
 

 
院長プロフィール
任 冬桜
この春から大学院生。最近気分を上げてくれるのは太陽光とジェーン・オースティンの小説です。


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