読書マラソン二十選! 154号

特集「本が好き! 〜みんなで読書マラソン〜」記事一覧


 2017年度(第13回)全国読書マラソン・コメント大賞に寄せられた応募コメントは4,778通。このなかからよりすぐりの15点を和書編でご紹介します。さらに、新学期号は洋書編も登場。言葉の国境を越えて、今年も実りある読書を楽しみましょう。
 
和書編 
洋書編 
 

和書編


  • 『君の膵臓をたべたい』
    住野よる/双葉文庫

    人間は、一人では生きていくことができない。なぜなら、「生きる」とは、「誰かと心を通わせること」だからだ。臆病で友だち付き合いのなかった僕に「生きる」ということを教えてくれたのは、君だった。「君の膵臓をたべたい」。タイトルでもあり、本にも出てくるこの言葉の意味を知ったとき、多くの読者にその思いが届くだろう。もちろん私にも届いた。この、一度しかない人生の中で「君と出会うために生きてきた」と思える人と出会いたい。そんないつかの「君」に出会うために、私は明日を生きていたい。
    (南山大学/アンタレス)

  • 『妖怪アパートの幽雅な日常1』
    香月日輪/講談社文庫

    自分の人生に、悩みがない“やつ"なんていない。悩んで、苦しみ、挫折して、落ち込む。自分もそうだし、実はだれでもそう。逃げたい。目をそむけて進めたら、どんなにうれしいか。「君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」この言葉は、私にほんの少しの勇気をくれた。もう少しだけがんばろうかな。もう一回だけがんばろうかな。所詮はほんの少しだけど、その少しでチャンスが広がる。さあ、今日もほんの少しの勇気をもらいに、表紙をめくろう。
    (香川大学/ MAY)

  • 『AX』
    伊坂幸太郎/角川書店

    クレープの生地を何枚も重ねて作ったミルクレープ。一枚一枚はがして食べるもよし、そのまま一気に食べるもよし。食レポ? いえいえ、そうではございません。
    定職もち妻子もちの殺し屋兜。息子が産まれ、妻の機嫌をうかがう彼はいつしか裏の仕事を辞めたくなります。けれどその道の業界がそれを許さない。一話完結の短編からなる物語には、そこかしこに伏線があり、さすが伊坂さん! 最終話ですべての伏線プラスシナリオの解決が一気に起こります。一話一話を楽しむもよし、一気に読むもよしの、まさにミルクレープ風読本。後味はすっきりですよ。
    (東北学院大学/クレープ読本)

  • 『さがしもの』
    角田光代/新潮文庫

    読んだ後、きっとあなたはこれまで以上に本のことが好きになっている——解説での岡崎武志さんのこの言葉通りだった。本屋や図書館でこれだ!と思う本に出会えた時。まるで宝物を発見したぞ!っていうくらいに胸がドキドキする。何度も繰り返し読んでいるはずなのに、年々意味が違って見えてくる不思議。たぶんそれは自分が成長している証。そんなことを短編集に乗せて静かに伝えてくれる、本への愛をつづったラブレター。
    (三重大学/比右子)

  • 『ぼくは愛を証明しようと思う。』
    藤沢数希/幻冬舎

    “絶対に女性にモテる方法" を知っているか。この本を読めば誰でもモテモテになる(!?)かもしれない。最初この本を手にしたとき、哲学かなにかの本かと思った。実際は全く違う。主人公がある人物から“恋愛工学" なるものを学び人生を変えていく。その主人公の変わりようには、読んでいて驚いてしまう。最初は道でお店の場所を尋ねるのもオドオドしていたのに、最終的には「こんばんは」と話しかけられるレベルにまで成長したのだ。周りが変わっていくなか、主人公の恋愛観までも変わってしまう。“恋" とは? “愛“とは? " 恋愛“とは? その答えがこの本にある……!?
    (東京農業大学/うさりん)

  • 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
    村上春樹/文春文庫

    思い描いていた理想と現実は違う。世間は綺麗ごとでは出来ておらず、私たちは生きている毎日の中で、いつも理想の結論にたどりつけるわけではない。多崎つくるがそうであったように、想定していた理想とは大きく異なる信じがたい現実が目の前に立ちはだかることだってある。しかしながら「すべてが時の流れに消えてしまったわけではないんだ」というつくるの言葉のように、置かれている状況を自分なりに受け入れて、それでもしっかりと前を向いて生きていく姿をこの物語を通して感じ、これからの人生の糧にすることができるだろう。
    (北海道教育大学/あやね)

  • 『がらくた屋と月の夜話』
    谷瑞恵/幻冬舎文庫

    「欠けている。まだ価値があると信じたいから。見上げると上弦の月が見える」この物語の主人公であるつき子は、自分の人生がツイていないことに悩んでいる。指輪をなくした矢先に出会ったブロカントをやっている骨董店のおじさんは、ボロボロになったがらくたに物語をつけて売っていた。その物語に人々は救われる。一つ一つのブロカントの物語にほっこりしたり、勇気づけられる反面、息子である天地との悲しい親子の過去に涙が流れました。みんながこの物語を読んで幸せになれますように。
    (山口大学/さささ)

  • 『金閣寺』
    三島由紀夫/新潮文庫

    美しい。その一言に尽きる。一字一句、一文一文が、洗練されていた。清流のように、さらさらと流れゆく文章。おだやかでありながらも、その内に見えかくれする漲る文学のエネルギーは、決して読者をはなさない。主人公は吃音症を抱えた寺の息子。父から聞かされた金閣寺の美しさに魅了され、翻弄される。悩ましい主人公の青春時代に、三島は美への精緻な分析を織り込んだ。美とは何か、性とは何か、生きるとは……。その分析は、今でも色あせることなく、読者の心を突き動かすに違いない。
    (東京大学/井川奏)

  • 『百年文庫1「憧」』
    太宰治、ラディゲ、久坂葉子/ポプラ社

    「憧」という言葉から、あなたは何を思い浮かべるだろうか。この一冊には、太宰治、ラディゲ、久坂葉子らによる3つの「憧」が収められている。果たして「憧」とはどのような感情か……。いつ、何に、どうして抱くものなのか、「憧」と「夢」は、似ているようで似ていない存在なのではないかと思った。それは必ずしもきらびやかで、純粋で、どこまでも澄んでいるとは限らない。しかしそこには必ずその人の人生との強い結びつきがあり、何かしらの力強い美しさが現れるのだという気がした。
    (横浜国立大学/ K)

  • 『新聞力』
    齋藤孝/ちくまプリマー新書

    「社会力」とは何か。本書によると、「自分の身の回りのことがよくわかって、それが常識的な感覚にまでなっていること」らしい。ネット社会と呼ばれる今日、目立ったニュースはネットやSNSから入手できるし、「新聞って必要なの?」そう思っていた私はとりあえず(この本がとても勧めてくる)一週間続けて新聞を読むということをしてみた。「ネットの記事で十分」と思う人も多いかもしれないが、この本で新聞の魅力を知り、実際に読むようになって、私は世界がより身近に感じられるようになった。これが「社会力」だと思う。
    (岡山大学/ SAWA)

  • 『世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え』
    ジェンマ・エルウィン・ハリス〈西田美緒子=訳〉/河出書房新社

    小さいころ、お母さんやお父さんに「何?」「どうして?」と聞いてばかりで困らせた経験を持つ人は多いだろう。人は、子どものころ当たり前に抱いていた不思議に思う心を、大人になるとすっかり忘れてしまう。そんな大人が失った子どもならではのちょっと笑える、お母さんが適当にこたえてしまうような質問をその分野の第一人者が丁寧に返事をしていく。ユーモアのある回答者たちも素晴らしいが、何事にも疑問を抱ける子どもと疑問を受け止めようとする著者に敬意を払いたいと思う。
    (横浜国立大学/ぱんだ)

  • 『朗読者』
    ベルンハルト・シュリンク〈松永美穂=訳〉/新潮文庫

    いま、ここで、一人の女性が裁かれようとしている。彼女を救う事実があるとして、それを提示することが必ずしも正義であるとは限らない。この物語は、一人の少年とひとまわりも年上の女性との「朗読」を通じた愛や、強制収容所の裁判を通して様々な問題を投げかけてくる。読み終えたあと、きっと胸の奥に何か引っかかるはずだ。正義とは何か、愛とは何か、目を逸らしがちな難題に向き合うきっかけとして、私は本書を薦めたい。
    (首都大学東京/神田)

  • 『ハーバードの人生を変える授業』
    タル・ベン・シャハー〈成瀬まゆみ=訳〉/だいわ文庫

    夢を実現し、成功を手に入れてもいつも憂鬱そうにしている人もいれば、何度も困難に直面しながらも、人生に喜びを見出している人がいます。後者は、どのような状況であれ、そこに良い部分を見つけられる人たち、なのだそうです。彼らは、ほかの人の成功を自分のことのように喜ぶことができ、挫折をチャンスに変えるコツを知っている。私も、ぜひ自分や自分に起きている出来事に対して「いいこと探しの名人」になって幸せを感じられる一人でありたいと思いました。
    (山梨大学/ ASA)

  • 『初恋』
    トゥルゲーネフ〈米川正夫=訳〉/岩波文庫

    “初恋" ほど、いつ落ちたかわからない恋もないのではないでしょうか。ひとつひとつが真新しいゆえに、美しさに気を取られ、迷い、失っても次があることを知らぬゆえに、これ以上ないほど焦がれます。今まで見ることのなかった世界が瞳に映るようになる、そんな経験をした16歳の少年のこころを痛いほど細やかに描いた本作は、150年のときを越えて私たちの心に訴えてきます。読了後には、自分のなかにある“初恋" という言葉の定義さえ、少し違って見えるようです。
    (慶應義塾大学/あるぎにん)

  • さえずる魚』
    アンドレアス・セシェ〈酒寄進一=訳〉/西村書店

    本を読んでいるのに本を読んでいる感じがしない、このような本は初めてだった。主人公はある日不思議な本屋にたどりつき、本を愛するナゾの女性リオと出会う。そこからは私も主人公と一緒に、物語の中なのか現実の世界なのかわからない空間で彷徨っている感じだった。私の人生も、数ある物語の一つであり、いろいろな人の物語と影響しあいながら、深みのある物語になっていくのだと感じた。本好きが、さらに本を好きになる一冊だと思う。
    (東京農業大学/わさお)
 
 

洋書編


  • The Hate U Give
    Angie Thomas / Balzer + Bray

    ゲットー出身のスターはギャングがうろつく路地と郊外の進学校、つまり「二つの世界」の間を行き来する16歳の女の子。 幼なじみのカリルが目の前で白人の警官に射殺され、たった1人の目撃者として若い彼女は苦しむが……。はたしてこの街は、この社会は、私は、変わることができるのだろうか? アメリカで黒人として生きることの笑いも涙も、ここには詰まっている。

  • The Night Circus
    Erin Morgenstern / Vintage

    大小のモノクロのテント。いつの間にか増える摩訶不思議な展示。占い師に、赤毛の双子に、ネズミ型のチョコレートに——さぁ入った入った、「夢のサーカス」へようこそ。街の郊外に前触れもなく現れる不思議なサーカスは、夜更けに開場し夜明けに1日を終える。世界中のひとびとを夢中にさせる一方で、舞台裏ではマジシャンたちの静かな闘いが繰り広げられていた。 不条理な運命が操るチェス盤上の一大スペクタクル。

  • Harry Potter and the Cursed Child
    J. K. Rowling, John Tiffany, Jack Thorne / Sphere

    あの魔法使いが帰ってきたかと思えば、活躍するのは、なんと子ども達。有名な父の影に悩まされるアルバスと、父の元ライバルの子どもで心優しいスコルピウスが、時空を超えた大冒険へ。アルバスパパは魔法界のヒーローにはなれてもパパにはなりきれなくて、相変わらず大変そう。舞台の台本なので、会話中心でテンポよく読み進めます。早く舞台、見たいっ!

  • The Bell Jar
    Sylvia Plath / Faber & Faber

    大学生のうちに読んでよかったと思える一冊。主人公のエスターは、成績優秀、夏休みはファッション誌でインターンをするような「キラキラ」女子大生。しかし将来について悩んでいるうちに完璧主義の呪縛にはまり、精神を病んでしまう。わたしもあなたも、気づいたらガラスの覆いの下で、身動きが取れなくなってしまうかもしれない。それでも、きっと光は差してくる。生涯うつ病と戦った天才詩人の唯一の小説。

  • Persepolis
    Marjane Satrapi / Vintage

    「イラン革命」。聞いたことはあるけど遠い存在だ。そもそもその名を聞いたことがない人もいそうだ。それでもイラン革命とイラク=イラン戦争に子供時代心を揺さぶられた著者による自伝的作品、それもマンガなのだから引き込まれる。シンプルだけどしっかりしたタッチで描かれたマージの物語には、歴史に翻弄されても強く生き続ける人々の姿がユーモラスに現れる。違う世界を生きる人々と、現代日本にいる私たちを引き合わせてくれる作品である。
 
(洋書コメント:東京大学/任冬桜)
 

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