Essay「あの頃の青春世界 〜冒険ゲーム〜」

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頼本 奈波
 

「冒険、ファンタジー」という『izumi』のテーマで最初に頭に浮かんだのは「ゲーム」。しかし『izumi』でゲームの話はだめかなと思い、頭の片隅に置いておくだけだった私は、編集会議の際に他のメンバーから「ゲーム」というキーワードが出たとき、「あっ、ありなのかな?!」と思い目を光らせた……そんなきっかけで、エッセイを書くことになりました。どうぞよろしく。
 ゲームといったら最近の流行りはなんでしょうか。ケータイゲーム? DSとかはどこへいっちゃったのかな。
 私のゲーム中毒期間は、中学から高校時代でした。PS2をひたすらやり込み、「ゲームは1時間!!」と母に怒られていたのを覚えています。私の大好きなゲームは「ぼくの夏休み2」と「ファイナルファンタジーⅨ」。他にも色々あるのですが、この2つにかけていた時間がめちゃくちゃ長かった。
「ぼくの夏休み2」は中学生の夏休みの頃、たくさん遊んでいました。主人公の「ぼく」が親戚のおじさん家族の住む島で夏休みを過ごす物語です。クワガタ探しを競ったり、昆虫採集で山をかけのぼったり、肩たたきをしてもらうお駄賃でアイスを買ったり、夕方の病院にあらわれる儚げなお姉さんに会いに行ったり……あ、これゲームのお話です。私の夏の思い出日記ではありません。これを書きながら、なんてインドアな学生時代なんだ……と少々呆れながらも、ゲームの中にある日本の夏休みを大満喫した記憶はすごく心に残っています。

 今思えば、家族で旅行などなく、地元もザ・田舎という感じでなく、遊びに行きたい気持ちを発散するところがありませんでした。それに抗って、せっせと「ぼくの夏休み2」をやり込んでいたのかもしれません。思い出すとキラキラとしたゲームの世界にワクワク感でいっぱいで、本当に楽しかったのだなと、自分のことながら微笑ましくなります。
 高校時代に燃えたのは「ファイナルファンタジーⅨ」でした。小学生の頃に父がプレイしていた記憶があり、あのゲームの物語がすごく素敵で、自分好みだった……ような、と思い高校1年の爽やかな季節に購入したのを覚えています。小学生の頃の記憶は薄ぼんやりだけど、まさに記憶通り大好きな世界観でした。ドキドキワクワクする物語に、魅力的なキャラクター達。魔導士が出てきたり、盗賊が姫を助けたりだなんて、どこのファンタジー小説を読んでいるのか……! それまではゲームクリアをした経験があまりなかったのですが(どれも中途半端にセーブして終わっている……)、物語の続きが早く知りたくて、夢中でプレイする日々。レベルをコツコツと上げて、敵を倒すというタイプが苦手な私が、苦手意識もぶっ飛ぶ感覚でどっぷり浸ったのを覚えています。このゲームは、夕暮れ時のシーンが多く、オレンジ色が印象的。このゲームをするようになってから、黄昏時がすごく好きになりました。切ないような愛おしいような、そんな気分にしてくれる空の色に恋い焦がれる。このゲームをクリアした時間も、外はきれいなオレンジ色で染まっていました。クリアしたその時は、とても寂しくて、切なくて、幸福で、夜に泣いたのを覚えています。まさに、黄昏時を静かに見ているときの気分でした。こんなにゲームの世界観に入り込んだのは、それが最初で最後でした。

 それからというものPS3にPSP、DSにWiiが次々と出てきて。今流行りのゲームはなんですか。貴重な若い時代にゲームばかりして、何をしているんだと多くの大人は呆れるでしょう。ええ、私もその一人でございます。しかし、それくらい感情移入できること、そしてゲームに出てくるキャラクター達にたくさんのエネルギーや感動や心をもらったのは、本当に素敵な思い出です。
 この思い出が今の私を作っている。今考えると、本を読んでいる感覚と同じかもしれません。本を読み世界観を感じ、登場人物に影響を受ける。そして、彼らの舞台の景色や空の色を想像し、私もその世界に佇む。昔の私がゲームを好きであること、今の私が本を好きであることの理由は同じだ。これからも、私の大好きな世界を見つけていきたいな。
 
 
P r o f i l e
頼本 奈波(よりもと・ななみ)
夢だった一人暮らしがスタートしました。最近の趣味は、スーパーのお買い得商品を買うこと、散歩しながら色んなお店や人と出会うこと、空の色を見ること。6階から見える夕日は、水色がかっていたり藍色に染まっていたり。明日はどんな色かな。

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